陳情第49号 イラクヘの自衛隊派遣の中止を求める意見書に関する陳情(平成15年       9月8日受理) 提 出 者   酉東京市谷戸町       田 辺 妃登美 陳情要旨  戦闘状態と劣化ウラン弾による放射能汚染の続くイラクヘの自衛隊派遣の中止を 強く西東京市として要望するため、日本政府に対する意見書を採択してください。 陳情理由  日本政府は「イラク復興支援特別措置法」に基づき、自衛隊をイラクに派遣し、 人道支援活動だけでなく、“安全確保活動”という事実上の米軍の支援活動を行おう としています。  イラクではイラク占領米軍司令官の言う「我々はまだ戦争状態にあり」「イラクを 戦闘地域と非戦闘地域に分けることはできない」という事態が続いています。イラ ク人は、みずからの手で民主的な選挙を実施し、国民の代表と憲法を決めたいと考 えていますが、いまだ国民選挙の見通しは立っておらず、占領軍に対する不満の声 が日増しに強くなっています。  アメリカからイラクヘの派兵の要請を受けたカナダ、パキスタン、インドは「国 連の主導によるイラク復興支援となっていない」ことを理由にはっきりと派兵を拒 否しています。また、アメリカ国内でも米兵家族会は、ブッシュ大統領と米国会議 員に対し兵士の帰国を求める運動を開始しています。  日本は米軍のいるところすべてが戦闘地域となり得るイラクヘ自衛隊員を送り出 そうとしていますが、このような状態の中で自衛隊員を送れば襲撃の標的になるこ とは間違いありません。  さらに強く懸念されるのは、砲弾、銃弾、榴弾の弾頭や戦車装甲などに広く利用 されている原子力発電所から発生する核のごみ、劣化ウランの放射能の怖さです。 湾岸戦争、ボスニア・コソボ、アフガン、イラクなどからの米国の帰還兵68万人の うち、28万人が今も奇病、白血病、がんなどの病気に悩まされ、約1万人が死亡し たとのことです。劣化ウランの粉塵は体内に入ると免疫システムを破壊します。帰 還兵の妻たちが流産したり、先天性の障害を持つ子どもたち(Gulf War Baby)が 生まれているということです。  微量放射能はDNAを傷つけ、遺伝的に孫やひ孫にその影響が強く出るといわれ ています。恐ろしいことに放射能は目に見えません。そして、免疫力のない小さな 子どもたちほど放射能の影響を強く受けます。  私たちは人道的にもこのように放射能汚染されているイラクヘ自衛隊員を送り出 すということには賛成できません。  今一番必要としているのは、イラクで劣化ウランの後遺症で苦しんでいる、薬も なく医療も受けられずに毎日死んでいく子どもたちや、同様の後遺症で苦しんでい るアフガンの人々、そしてアメリカの兵士の人たちに対する支援をしていくことで はないでしょうか。それこそがこの地球にともに生きている私たちが人間として早 急にすべきことではないでしょうか。戦争や紛争を長引かせるということはさらに 全地球的な放射能汚染者を拡大してしまうことになります。  戦闘状態と放射能汚染の続くイラクヘ自衛隊を送り込むことについて、慎重なる 検討の上、見合わせるよう強く政府に求めることをお願い申し上げます。