┌────────────────────────────────┐ │これは森てるおのホームページ用に参考用として掲載したものであり、│ │誤字、脱字等がある場合があります。正確なものを必要とする場合は、│ │西東京市ホームページ、または西東京市役所でご確認ください。   │ └――――――――――――――――――――――――――――――――┘    原爆症認定制度の抜本改善を求める意見書  「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」第11条で規定されている「原爆症認 定」審査が、原爆被害の実態に見合っていないという声が高まっている。  広島・長崎で原子爆弾の被害を受け「被爆者健康手帳」の交付を受けている被爆者 は全国に 25万 9,556人在住しているが、「原爆症」と認定されている被爆者はそのう ちの 2,255人、わずか 0.86%にすぎない(2006年3月31日現在・厚生労働省調べ)。  2000年7月に最高裁が、長崎の爆心地から 2.45キロメートルの地点で被爆した女 性が頭部に受けた外傷の治癒のおくれから発症した肢体障害を原爆症と認めたにもか かわらず、厚生労働省は、その後もなお、爆心地から2キロメートル以内という至近 距離で直接被爆した者のがんも、原爆症に認定することを却下している。そのため、 原爆症認定審査のやり方が極めて機械的であるとして、改革を求める声が高まってい る。  2003年から相次いで起きた認定却下の取り消しを求める集団訴訟は、2007年5月1 日現在で15カ所の地裁と5カ所の高裁に広がり、原告数は 245人に上った。  提訴から3年を経過した昨年から、5カ所の地方裁判所が次々に判決を言い渡した。 昨年5月の大阪地裁は原告9人全員勝訴させ、8月の広島地裁も原告 41人全員勝訴の 判決を言い渡した。これらの判決は、「審査の方針」の機械的運用を厳しく批判し、被 爆者の救済を求めている。  今年1月の名古屋地裁判決、3月の東京地裁判決は、原告の一部の訴えを退けたも のの、これまで国が認めなかった放射性降下物や誘導放射線の影響を認め、制度の抜 本的改善を求めた。さらに、3月の仙台地裁判決は、25年前に受けたがんの手術の後 障害に苦しむ被爆者も原爆症と認定する判決を言い渡した。  しかし、5カ所すべての地方裁判所で認定すべきという判決が下されたにもかかわ らず、厚生労働省は控訴を行い、結果として制度の改革を先延ばししている。  このままでは、ほとんどの被爆者が「原爆症」と認定されない事態が続き、原爆被 害の実相を明らかにさせるためには、被爆者は生きている限り裁判を続けなければな らないことにもなりかねない。  今年3月に判決が言い渡された東京の第1次原告 30人は、提訴の2003年5月から の3年10カ月の間に、その3分の1を超える 11人が死去した。東京在住被爆者の平 均年齢は 73.2歳となり、ほとんどが高齢者になっている(2006年度末・東京都調べ)。  よって西東京市議会は、政府及び国会に対し、早急に原爆症認定制度の抜本的改善 を行い、高齢化する被爆者の救済に着手することを求める。  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。  平成19年6月 日                       西東京市議会議長 遠 藤 源太郎   提出先 内閣総理大臣、厚生労働大臣、衆議院議長、参議院議長