陳情第12号 教科書採択に関する陳情(平成13年5月7日受理) 提 出 者 西東京市下保谷   西東京市の教育を考える会代表  澤 田 芳 治  平成14年度より使用の公立小・中学校教科用図書に関しましては、文部科学省の検定結果が 発表され採択事務が進む段階に入ります。当市では平成12年6月に旧田無市議会において、9 月に旧保谷市議会において採択制度の適正化・明確化に関する陳情が採択されました。また去 る2月8日、東京都教育委員会は「教科書採択事務の改善について」と題する通知が教育委員 長名で出され(以下「通知」)、さらに4月12日開催の都教育委員会主催の教育施策連絡会に おいても教育委員会が自身の責任で採択されるべきとする考えが強調ざれております。よって、 これからの採択事務がこの通知に準拠し、特に下記事項が遵守されますよう陳情いたします。                       記 1.「通知」第1項では「文部省告示の新学習指導要領に示されている『目標』等を最もよく  踏まえている教科書を選定するなどの観点から、専門的な調査研究を行うこと。例えば中学  校社会科・歴史分野の『歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れと各時  代の特色を世界の歴史を背景に理解させ、それを通して我が国の文化と伝統の特色を広い視  野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め国民としての自覚を育て  る』など」と明記しております。この「目標」は、新世紀を担う次世代に最も求められる理  念であり、この「目標」を最もよく踏まえた教科書をぜひ採択されたい。 2.上記「目標」を達成するためには、「通知」第2項及び第3項にあるごとく「調査研究は  すべての検定済教科書を対象とした『専門的な教科書研究』に基づき、新学習指導要領に示  された『目標』及びそれに対応する『内容』等に即して各教科書の違いが簡潔・明瞭にわか  るようなものとすること。明瞭な違いがあらわれない調査項目、末梢的な要素に関わる調査  項目などについては見直し、調査研究資料が実際の採択に『より参考になるもの』となるよ  うにすること」と明記しており、さらに「調査審議する機関である『採択委員会』等の委員  及び調査員には、採択基準に基づく調査研究資料を調査・作成するのにふさわしい人材を委  嘱・任命すること」と明記しております。したがって、「学習指導要領の白紙撤回」を運動  の目標にしている都教組の組合員は「ふさわしい人材」とは言えません。また、「保護者等  の意見」が反映できるよう委員に加え、調査員には教職員以外の住民を委託することができ  るようにとも指摘があり、人選に当たってはこれらのことを考慮するよう強く要望します。 3.「通知」第4項では「各教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条  第6号に定められた教科書の『採択権者』としての立場と責任を自覚し、調査研究資料及び  『採択委員会』等の下部機関の調査報告書の内容に基づき、みずからの判断で決定すること。  その際、必要に応じ調査研究資料と調査報告書の内容について確認するため、当該教科書に  当たって点検すること」と明記されており、実行されたい。 4.「通知」第5項では、「事実上『教職員の投票によって採択教科書が決定される等、採択  権者の責任が不明確になる』おそれのある規定があるときは速やかにその規定を改正し」と  あり、また第6項では「採択権者である教育委員会の決定に先立ち、教育委員会の下部機関  が採択すべき教科書の候補を1種または数種に限定する、いわゆる『絞り込み』の規定があ  るときは速やかにその規定を改正し『採択手続の適正化』を図ること」と明記しており、必  ず実行順いたい。 5.「通知」第7項に述べられているように、見本本は直ちにしかるべき場所で展示し、展示  場所を周知する措置をとっていただきたい。また、第8項にある採択結果等の情報公開は採  択後直ちに行い、採択事務の透明性を確保していただきたい。 6.最後に、「通知」の前文にあるように、かかる採択事務の改善は平成2年3月20日付文部  省初等中等教育島長通知で指摘されたにもかかわらず、10年経過しても進んでいないと述べ  られており、まことにゆゆしき問題であります。幸い、当市におきましては採択要綱の改正  に取り組まれておられ、その高い識見に敬意を表するものであります。この上は、法治国家  の地方教育行政の組織と運営を担われる責任と自覚のもと、強い指導力と実行力をもって採  択事務を改善し、よりよい教科書を子どもたちに提供していただきたく強く要望いたします。