陳情第27号 住民基本台帳ネットワークシステムに関する施行延期を求める決議案採択につ       いての陳情(平成14年6月12受理) 提 出 者 千代田区霞ヶ関     日本弁護士連合会 会 長  本 林   徹  日ごろ、日本弁護士連合会の会務への御理解と御支援に感謝申し上げます。 1999 (平成11)年8月に住民基本台帳法の改正として成立した住民基本台帳ネットワークシス テム(以下「住基ネット」という。)が、今年8月5日から施行されます。住基ネットは住民基 本台帳法の規定に基づく制度で、基本的に市区町村の貴任で管理することになっています。  住基ネットは国の行政事務にとってある程度の簡素合理化をもたらすことにはなるでしょう。 しかし、市区町村については事情が著しく異なります。日本弁護士連合会(以下「日弁連」とい う。)が昨年11月から12月にかけて全国3,247市区町村を対象にアンケート調査した結果によ れば、多くの市区町村は、住民のプライバシー保護やネットワークシステムの運用技術の難し さ、膨大なコスト、事務量の増加などの問題で困惑していました。日弁連ではこのような市区 町村の実情を考えて、政府に対して住基ネットの施行延期を求めています。  そこで、貴議会で住基ネットをこのまま稼動させてよいのかという観点から住基ネット問題 を取り上げていただくよう御提案いたします。首長は法律の執行機関として住基ネットの施行 をみずからの意思でとめることができません。首長以外で地方自治体の立場を主張できるのは、 執行部を監視する機関である議会をおいてほかにはありません。住基ネットが慎重な判断を要 する極めて重要な問題を含んでいることからすれば、6月議会において慎重な審議をしていた だき、重要な問題が解決するまで住基ネットの施行を延期すべきとする決議を上げることこそ が、8月の施行を目前に控えた地方自治体ができる最後の手段です。決議案及び意見書案を添 付しましたので、参考に御利用ください。  市区町村の住民の権利を守り、市区町村の財産を守るのは市区町村議会の役割です。地方分 権の時代は一つの町や村の議会の決議が日本を動かす可能性をはらんでいる時代です。ぜひ貴 議会で御検討ください。