平成11年陳情第47号  平成11年11月29日受理    保谷市図書館設置条例の一部を改正する条例(案)に関する陳情書 1 優れた図書館サービスを支えている保谷の図書館政策の根本である第4条第2  項は、決して削除しないでください。 2 昨年度保谷市図書館は、10万人までの市区の中で貸し出し冊数全国第4位、  予約冊数全国第1位でした。現在の優れた図書館サービスは、この第2項によっ  て保障された専門職集団を核として達成されているのだと私たちは考えておりま  す。   第2項は、保谷市図書館に「図書館法第5条に定められた司書及び司書補の資  格を持つ図書館長・副館長・地域館長・司書を置くこと」を規定したものです  が、図書館法の精神を明確にあらわしており、特に「法第5条に定められた」   「館長・副館長・地域館長」が明記されている点で内外から高く評価されている  ものです。  私たちの会は1971年の発足以来、図書館の本を利用して学習を積み重ね、そ の実りを地域の子どもたちに届けてまいりました。子ども文庫を中心とした会の先 輩たちの時代を経て、現在は学級文庫や保育園・児童館・学校での読み聞かせや本 の紹介などの活動を行っています。会員の種まきから始まった市図書館の団体貸し 出しを利用した学級文庫は、今年度3校19クラスに広まりました。母親を中心と した学校でのお話し会や読み聞かせも6小学校58クラスで実施されています。  これらの活動を支えているのが経験ある図書館司書の助言や情報提供であり、専 門職の選んだ図書館の本からなら安心して地域の子供たちに届けられるという図書 館への信頼なのです。私たち市民がさらに本を子どもたちに届ける活動を発展させ ていくためには、保谷市図書館には専門職の集団が必要なのです。  保谷市の優れた施策である学校図書館専門員も有資格者であり、公共図書館と学 校図書館との連携も専門職集団を核とした保谷市図書館だからこそ進展しているの だと思います。この連携の充実は、教育改革に大きく寄与していくと思います。  保谷市の図書館の設立は、昭和48年6月に発足した「保谷の図書館を考える会」 による教育委員会への要望書提出に始まりました。「保谷の図書館を考える会」は、 図書館がない地域で子どもたちに本をと願った母親たちを中心に、当時市内20数 カ所で行われていた子ども文庫や当会を中心とする読書会グループ、図書館が欲し いと考える個人会員が集まった会でした。先進市の図書館見学や図書館学習会を積 み重ねて運動し、「48年陳情第5号 公共図書館に関する陳情」が採択されまし た。  市民の要望を真摯に聞き、ともに考えてくださった行政側の要請により、「保谷 の図書館を考える会」は、「図書館網計画試案」を市に提出しました。その第一に 掲げたのが「専門職の人材を得る」ことでした。そこで、市は他市から図書館づく りの経験を持つ司書有資格者を図書館計画の中心とするために主幹として招き、図 書館をつくりました。このように学習した市民と行政が手を取り合ってつくり上げ た図書館設置条例は、地方自治の精神を体現したものでそのレベルの高さは保谷市 の識見の高さを示すものです。私たち市民もこのことを誇りにしております。  教育委員会への第4条第2項削除の提案理由は、「図書館法の改正により有資格 図書館長の必置規制がなくなったため」(11月15日の「社会教育委員の会議」 での答弁)とのことですが、法改正で削除されたのは第13条3項の、図書館建設 の際の補助金を受けるときの必置規制だけだと思われます。図書館法は、地方自治 の精神を大切にした奨励法です。図書館長に有資格者が望ましいという図書館法の 法の精神に変更はありません。今回の図書館法改正を含む地方分権一括法は、「地 方公共団体の自主性及び自立性を高めることにより、個性豊かで活力に満ちた地域 社会の実現を図る」ことを目指していて、レベルの高い条例を変える必然性はあり ません。  保谷市の図書館をどうするかは保谷市の市民と行政が決めるべきことであり、市 民の声と培われた歴史を大切にしてほしいと思います。今必要なのは各自治体がそ れぞれの市民の考え方を吸い上げて独自の政策を持つことです。私たちは保谷市が つくってきた図書館政策を支持し、よりしっかりしたものとすることを望んでおり ます。優れた図書館サービスを支えている保谷の図書館政策の根本である第4条第 2項は、決して削除しないでください。ぜひともよろしくお願いいたします。   平成11年11月29日                   陳情者代表                    保谷市柳沢                     子どもの読書勉強会                     代 表  福  岡  淳  子  保谷市議会議長   渡  部  保  男 殿