平成11年陳情第62号  平成11年12月3日受理    「保谷市公民館設置及び管理等に関する条例」(案)についての陳情書 陳情項目 1 11月2日、教育委員会は、保谷市の社会教育の根幹にかかわる社会教育関連の条例  等を、民主的手続抜きで、しかも社会教育理念の基本的論議不十分のまま、1名を除く  多数で採決しました。このような決め方、内容の条例は採択しないでください。 2 基本的には、「法改正」によっても、あえて保谷市の公民館条例を変える必要はあり  ません。 3 教育委員会は社会教育法の目的に言う教育基本法の精神にのっとり、教育が不当な支  配に服することなく、市民全体に責任を負って教育行政を行うものと考えます。そのた  めにも民主的手続を尊重し、十分な合意のもとに進めることを切に望みます。  以上から「保谷市公民館設置及び管理等に関する条例」(案)の不採択を求めます。 陳情理由 1 「改正社会教育法」は、1999年3月26日に「地方分権の推進を図るための関係  法律の整備等に関する案」(地方分権一括法案)が閣議決定され、7月8日の参議院本  会議で可決され、2000年4月1日から施行されます。一括審議の中で、国会では社  会教育関連法は一切審議されませんでした。今回の「改正社会教育法」の内容は、公民  館に関しては、@公民館運宮番議会(以下公運審)必置原則の緩和(任意化)、A館  長人事における公運審への事前協議の廃止、B公運審委員の選出区分、方式の弾力化  です。   これらは「規制」を「地方分権」の名のもとに緩和したのであります。 2 現行の社会教育法でも中央館、分館方式や、「2以上の公民館について1つの公運審  を置くことができる」ことは従来から認められていたことです。にもかかわらず、保谷  市の教育委員会や市民は、これまで50余年の実践から、公民館を独立地区館方式とし  各館に公運審を置いてきました。すなわち中央館方式や公運審の一本化はしませんでし  た。   今回の「改正社会教育法」は「公民館に公運審を置くことができる」と任意設置にし  たものであり、こうしなければならないというのではなく、置くか否かの重要問題は自  治体の自主的判断に任されたのです。したがって「法改正」に関係あるのではなく、む  しろ保谷市として今後どうするかを関係行政委員や市民、職員の意見を十分尊重し、教  育委員会が民主的手続のもとに決めていけばよいことです。「法改正」を口実に公運審  の住民参加制度を縮小・削減することは許せません。 3 公運審の選出区分も今回の「改正社会教育法」第30条が「学校教育及び社会教育の  関係者並びに学識経験のある者の中から」と緩やかな規定になり、自治体独自の判断で  よくなったと考えられます。 4 保谷市の社会教育の根幹にかかわる社会教育関連の条例等を、なぜ社会教育委員や公  運審に諮らず、また、職員の意見、市民の合意も得ず、突然改正したのか。何の説明も  なく、ただ驚き怒りを覚えます。   さらに、11月2日、教育委員会定例会の事前に協議会と称する非公開の会議を2時  間、その後公開の定例会でも2時間足らずで、この議題を1名を除く多数で採決しまし  た。保谷の社会教育50余年の歴史は、教育委員会と市民・職員共同の蓄積でした。と  ころが、保谷の社会教育の根幹にかかわる重要議案は、教育基本法・社会教育法の精神  にのっとる論議もせず、教育長の「何とぞ御理解を」という議案提出に、簡単に採決さ  れてしまいました。   このように全く民主的手続をとらずに決め、法改正とは無関係な「保谷市公民館設置  反び管理等に関する条例」(案)は採択しないでください。 5 現行保谷市公民館条例は、第1条「社会教育法第20条の目的を達成するために本市  に公民館を設置する」と目的達成のためを明記しています。しかし改正条例(案)では、  この目的の理念が欠落しています。ではこの目的が「改正法」では変わったのかという  と、「改正社会教育法」第5章公民館の目的第20条は「公民館は、市町村その他一定  区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行  い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会  福祉の増進に寄与することを目的とする」と現行の社会教育法と全く変わっていません。  ちなみに「改正社会教育法」の第1章総則(この法律の目的)第1条は「この法律は、  教育基本法(昭和22年法律第25号)の精神に則り、社会教育に関する国及び地方公  共団体の任務を明らかにすることを目的とする」と、法律の目的も現行の社会教育法と  変わっていません。現行公民館条例は、公民館の目的をきちんと「達成するため」と明  記してあるのに、改正案は公民館の目的を削除し、何のために、公民館設置や管理をす  るのかが不明確です。 6 現行の社会教育法の中で、前教育長は1998年3月30日の教育委員会で「どんな  ことがあっても独立館というものを続けていくことが一番大事だという考えをもつわけ  でございます。したがって、当然各館に公運審を設ける……」(1998年3月30日  教育委員会第2回臨時会会議録より)と明言されています。また、1997年3月28  日市議会で「公民館の独立地区館方式と無料制度の維持並びに増館を求める請願書」  (署名5,668名)は採択されています。こうした市議会や市民の意思を重く受けと  めることもなく、さらに教育委員会みずから決めたことを、教育委員会みずからが民主  的手続もとらず、突然ほごにするということは前代未聞の暴挙で言語道断です。  以上の理由から「保谷市公民館設置及び管理等に関する条例」(案)の不採択を求め陳  情します。                                     以上   平成11年12月3日                       陳情者代表                        保谷市本町                         公民館をよりよくする会                         代 表  奥  津  とし子                        保谷市新町                         保谷母親連絡会                         会 長  大  西  妙  子 保谷市議会議長  渡  部  保  男 殿