議員提出議案第7号    遺伝子組み換え作物・食品の規制を求める意見書  上記の議案を提出する。   平成12年6月6日提出                   提出者  森  下  典  子                   賛成者  山  田  忠  昭                    〃   岩  越  笙  子                    〃   酒  井     澄                    〃   保  谷  清  子                    〃   森     輝  雄                    〃   二  木  孝  之 保谷市議会議長   渡  部  保  男 殿 ──────────────────────────────────────    遺伝子組み換え作物・食品の規制を求める意見書  遺伝子組み換え作物・食品(以下GMO)が技術的にまだ研究段階であるにもか かわらず、既に商品化され一般に流通している現状に大きな不安を持っている。  遺伝子組み換え技術は、生命の根源である遺伝子を人為的に操作することによっ て、種の壁を超えた未知の生物を地球上に送り出すことが懸念される。人間の健康 や自然環境を破壊する危険性がないのか、慎重に審査されるべきである。  私たち日本国民は、毎日知らないうちにGMOを食べざるを得ないことに大きな 不安と怒りを覚え、特に次の点について憂慮せざるを得ない。  第1に、GMOの安全性が証明できないこと。慢性毒性やアレルギーを起こさな いか、各国・各地域の食文化による摂取量の違いを踏まえ、長期的な審査の上で認 可されるべきである。第2に、農水省が食品への表示義務化案を発表したが、表示 対象はわずか29品目に限られていて、極めて不十分である。第3に、現在進めら れているGMOの商品化によって、一部の多国籍(農業)企業が食料や種子を握る ことになり、私たちの食料がこれら一部の企業に支配されかねず、地球規模の食料 不足の可能性を考えると、このような事態はゆゆしきことである。第4に、遺伝子 組み換えによって生まれた未知の生命体が、多様な生物が息づく地球の生態系を破 壊する危険性が危惧される。  よって、日本政府として以下の対策を早急に講じることを要請するものである。 1 厚生省は、遺伝子組み換え食品を長期にわたって食べても、慢性毒性やアレル  ギーを引き起こす危険性がないか審査を行い、安全性が証明されない限り認可し  ないこと。 2 農水省は、遺伝子組み換え原料が混入している食品の表示対象を限定せず、微  量添加物、畜産飼料も含めて、すべての原料表示を義務化し、表示が適正に行わ  れているか監視すること。 3 農水省は、農業が自然界の多様性・生態系に依存していることを重視する「食  料・農業・農村基本法」の基本理念にのっとり、国内における遺伝子組み換え作  物の市場流通用の作付を認めないとともに、国内自給率の向上を着実に進めるこ  と。 4 環境庁は、生物多様性条約のバイオセーフティー議定書(遺伝子組み換え生物  の国際取引を規制した初の国際協定)に基づき、在来の植物・種子を保護するた  めに、遺伝子組み換え作物が環境に及ぼす影響について、事前評価を行い公開す  ること。 5 環境庁は、バイオセーフティー議定書をWTO協定に優先させて罰則規定を設  けること並びに規制を種子だけでなく作物にまで広げることを国連機関に提案す  ること。   以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。   平成12年6月  日                       東京都保谷市議会議長                          渡  部  保  男  内閣総理大臣  厚生大臣  農林水産大臣  あ て  環境庁長官