森てるおの議会報告 賛成・反対討論

 2000年9月議会本会議における森てるおの賛成・反対討論をお知らせします。


 
 保谷市個人情報保護条例の一部を改正する条例
<賛成討論>

  議案第67号「保谷市個人情報保護条例の一部を改正する条例」について、賛成の立場
 から討論いたします。

  本議案の中には、市の電子計算組織を、国または他の地方公共団体と通信回線で結合する
 ことを禁止した第12条にただし書きを付して、結合を認める提案がなされています。市民
 のために、市が保有している個人情報が市外に流れることは、プライバシー上の大きな問題
 です。一般質問においても質問をし、合併準備作業の必要から田無市との結合をするための
 ものという説明がありました。田無市との合併準備作業のためとしては理解いたしますが、
 他への拡大は許されるべきものではありません。また、存否そのものを答えないことを規定
 する第13条2項については、まだ関係方面での議論が続けられている事柄でもあり、それ
 ら議論の行方も見きわめていくべきである。

  以上、拡大解釈がなされれば、プライバシーの侵害が起こるおそれがあり、そのことへの
 危惧を表明しつつ賛成いたします。



 
 保谷市長等有給特別職の職員の給与支給の特例に関する
 条例の一部を改正する条例

<賛成討論>

  議案第69号「保谷市長等有給特別職の職員の給与支給の特例に関する条例の一部を改
 正する条例に、賛成の立場で討論いたします。

  本減俸の提案については、下水道受益者負担金の猶予問題にかかわる市長の責任のとり方
 であるというふうにされております。しかし、必ずしもその責任、何が問題であったか、そ
 して今後どう行政を進めていくのか、この点についての解明がいまだ不十分ではないかとい
 うふうに思っております。

  本件の原因として、法、条例に従った事務が本当に行われていたのか、この点が非常に重
 要なことであります。今後、こういったことをなくしていくために、市長の減俸提案という
 ものも踏まえて、ぜひ法、条例に従った行政をきちんと進めていっていただきたい、こうい
 う気持ちを申し上げて、本提案について賛成をいたします



 
 議会の議員の報酬及び費用弁償等の特例に関する条例
<反対討論>

  議員提出議案第10号「議会の議員の報酬及び費用弁償等の特例に関する条例」に反対の立
 場で討論いたします。

  本議案は、昨年の定期監査で明らかになった下水道受益者負担金徴収事務の不手際にかか
 わって、議会としても一定の責任を負うべきであるとして提案されております。そもそも原
 則として、法、条例に基づいて適正に執行されるべき事務が正しく処理されていなかった責
 任は、執行機関が負うべきものであります。議会が執行機関の責任を分かち合うという性質
 のものではありません。今回の下水道受益者負担金については、監査の指摘によって明るみ
 に出てきた事柄で、その後議会としても、その解明に向けて努力をしてきたと思っています。
 議会としての役割に欠けるところがあったとは思っていません。

  今回の事件について、私は行政事務の執行に当たって、根拠条文を確認せずに行っていた
 ことに原因があったのではないかとの指摘をしてきました。御記憶の方もあろうかと思いま
 すが、私は昨年、教育長が条例どおりの事務手続を行わなかったことに対して条例違反の指
 摘をしました。しかし、裁量の範囲であるとの認識が示され、私の指摘は議会の多数の理解
 を得られなかったのです。あれほど明瞭な条例に従わない事務が裁量の範囲であるとして認
 められてしまう状態が緩んだ行政を許してしまうのは当然のことです。行政も議会もこの点
 でこそ理解するべきです。

  また、議会は何をやっていたのかという市民の叱責の声もあります。議会の一員として、
 自戒と今後への決意を込めて、何らかの意思表示をしようということであれば、それについ
 ては同意します。ただ、漫然と反省したり、報酬の返上で事足りるとするのではなく、何に
 ついて反省し、今後どうするのか、何について自戒するのかを明らかにしなければなりませ
 ん。報酬減額について、私は保谷市政をただしていく決意の表明として自分の報酬減額には
 賛成しますが、納得していない皆さんにその考えを強制するつもりはありません。当然のこ
 とですが、議員によって責任の感じ方、とり方には違いがあるのです。完全に一致できない
 のなら、全員の合意が可能なことだけを決議し、具体的な対応については議員個々にゆだね
 るべきではないでしょうか。本議案は納得づくで決めるべきことを多数決で決めようという
 ものになっており、可決すべきものではないと申し上げて、反対の討論といたします。



 
 石原都知事が行った「三国人」発言と自衛隊に治安出動を期待する
旨の発言を撤回して謝罪すること及び都知事辞任を議会として強く
働きかけるよう求める陳情書

<反対討論>

  平成12年陳情第19号「石原都知事が行った「三国人」発言と自衛隊に治安出動を期待
 する旨の発言を撤回して謝罪すること及び都知事辞任を議会として強く働きかけるよう求め
 る陳情書」に反対の立場で討論いたします。
  陳情趣旨に示された石原都知事の発言は、ジャーナリズムにさまざまに取り上げられ、批
 判にさらされ、市民の厳しい指弾をも受けており、不適切なものであったと受けとめており
 ます。また、市民や政党がこれを根拠に、辞任の要求を出すのも理解できるところでありま
 す。しかし、このことをもって議会が辞任を求める決議をすることが妥当かといえば甚だ疑
 問であります。法律違反などの著しい非行に当たる場合を除き、議会の議決にはなじまない
 と言うしかありません。陳情者におかれては、都民の憤りを背景にして、直接謝罪や辞任を
 求めるべきではないかと申し上げて、本陳情には反対をいたします。



 
 公教育の場での「日の丸・君が代」強制に反対する陳情書
<賛成討論>

  平成12年陳情第23号「公教育の場での「日の丸・君が代」強制に反対する陳情書」に賛
 成の立場で討論いたします。

  本陳情は、保谷市立の小中学校の卒・入学式等の行事において、日の丸・君が代はもとよ
 り強制するべきものではないとの見解を示しています。強制が思想、良心、宗教等の自由の
 尊重をうたった憲法や児童の権利に関する条約に抵触することを考えれば、当然のことであ
 ります。また、現在の日本の経済を維持するためには、毎年60万人の外国人労働者を受け
 入れることが必要だとの説もあり、日の丸・君が代の強制がさまざまにトラブルを引き起こ
 すことも予想されます。

  本陳情はそのように問題の多い日の丸・君が代の強制を行わないよう求めたものであり、
 当然採択すべきものです。何が強制に当たるのか、当たらないのかというのは別の議論であ
 ります。罰を与えなければ強制に当たらないという主張に対して、私は踏み絵のように良心
 を偽るか、あらわにすることを迫る、そのこと自体が強制に当たると思っております。
  以上、私は日の丸・君が代の強制には賛成も納得もできません。

  よって、公教育の場での日の丸・君が代強制に反対する陳情書に賛成の立場を明らかにし
 て討論といたします。



 
 市使用のディーゼル車を低公害車にかえることを求める陳情書
<賛成討論>

 平成12年陳情第25号「市使用のディーゼル車を低公害車にかえることを求める陳情書」
 に賛成の立場で討論をいたします。

  保谷市は緑も多く、空気が比較的きれいだと思われてきました。しかし、自動車排ガス測
 定値やぜんそく患者の罹患率など多くのデータから、保谷市内の大気はかなり汚染されてい
 ることが明らかになってきました。これ以上の汚染の進行は市民の命と健康に重大な脅威と
 なることは明らかでしょう。環境汚染から市民の命と健康を守ることがこれからの行政の最
 大の役割です。環境に大きな負荷を与える36メートル道路など、大型通過道路の問題は、
 環境の観点からとらえ直し、市民に十分な情報提供と説明をし、見直していくべきです。

  この陳情は、市が保有する車をディーゼル車から天然ガス車やプロパンガス軍等の低公害
 車に切りかえることを求めています。ディーゼル車の有害性が次々と明らかになり、東京都
 がディーゼル車ノー作戦を展開し、国もその後追いをしているという現在の状況の中で、西
 東京市となるのを機会に、ディーゼル車の低公害車への切りかえはもちろんのこと、環境都
 市宣言をするなどの積極的な政策展開をするべきです。

  本陳情はその第一歩であると受けとめ賛成をいたします。




 
 保谷市公立学校教科書の採択制度の充実・明確化に関する陳情書
<反対討論>

  平成12年陳情第26号 保谷市公立学校教科書の採択制度の充実・明確化に関する陳情
 書に反対の立場で意見を申し上げます。

  本陳情は、教科書採択のプロセスの公開と教育委員会がみずからの責任で、教科書の採択
 をするように求めております。

  プロセスについて公開されていないとか、基準について不明確であるとかいうことがある
 のならば、これはただされるべき事柄であります。

  2つ目の陳情事項については、事務執行上のシステムを壊し、教育委員会がみずからの判
 断だけで直接に決定するよう求めているものと受け取っています。

  今議会では事務執行上の不手際で市長の減俸提案が可決されています。市の事務執行はシ
 ステムの中で遂行されているのです。システムをつくり、そのシステムで事務執行に当たっ
 ていれば、市長の責任で仕事をしていることになります。窓口での応対や徴税事務などすべ
 ての事務を市長一人でできないのは当然です。

  同じように実施要領をつくり、教育委員会の責任ある指示のもとで、専門的検討を経て提案
 されたものを教育委員会が承認、採決するという経過には一般的にいって問題はありません。
  提案されたものが明らかに問題であると判断すれば、理由を明確にして、公式に差し戻せ
 ばいいだけのことであります。教科書選定についてはむしろ、もっともっと市民の意見を聞
 く方向に開かれていくべきだろうと考えています。

  さて、陳情趣旨の中で国際化と言い、国際社会に通用する人間に成長することが求められ
 ているという指摘は全くそのとおりです。歴史的事実を共有し、よいことは学び合い、悪い
 ことは改め合って心を開ける交流や関係が築けたらすばらしいことです。ところが、一部に
 自国に誇りを持つためと称して歴史の事実を伝えない、あるいは歪曲して伝えることを求め
 る人たちが存在しているのは非常に残念です。日本が広島、長崎を伝え続けているのと同じ
 ように、日本人の過去の行為はアジアではきのうのことにように伝え続けられています。そ
 のことがあからさまに私たちに向けられてこないのは、彼らが過去は過去として新しい関係
 を求めているからではないでしょうか。事実を知ることなく、知ろうとせず、これらの人々
 とどんな交流が図れるのでしょうか。

  教科書の選定はできるだけ多くの人たちの検討を経て行われるべきものであり、5人の教
 育委員と事務局のみで行うべきものではありません。委員会審査の中では、教科書選定委員
 会や校長、教頭からなる教科書選定運営委員会で2種や1種に絞り込むことについて説明員
 が手続に問題がありはしないかと思っている。 2種類に絞ったり、1種に絞る部分について、
 不適当であるとの疑念を持たざるを得ないという発言をしているが、教育委員会の中にそん
 な認識があるとすれば、それこそゆゆしいことではないでしょうか。

  以上、この陳情が教育委員会がみずからの資任において教科書の採択を行ってくださいと
 求めているのは、より多くの人の意見を聞いて決めていくという考え方に逆行するもので、
 本陳情には反対をいたします。


 
 不健全図書及び商品の自動販売機を設置させない条例の制定を求める請願書
<反対討論>

  平成12年請願第2号について、反対の立場で討論いたします。
  本件は、不健全図書及び商品の自動販売機を設置させない条例の制定を求めたものであり
 ます。最近のビデオや出版物の中には過激な性描写の、いわゆるアダルト物が数多く見受け
 られ、それらがだれでも買える自動販売機で売られていることに対して、請願者は青少年に
 悪影響を与えるのではないかと心配されているのだろうと推察いたします。

  請願項目の1、「不健全図書及び商品の自動販売機を設置させない条例を制定してくださ
 い。」ということについて、不健全図書とは何か、商品とは何かということがまず気になる
 ところです。わいせつな文書図画の販売は刑法犯罪であり、展示や販売をすると罰せられる
 ことになります。それほどではないが、青少年に見せることが有害だとされたものが都知事
 によって不健全図書に指定されています。次に、自動販売機がいけないのか、他の場所で売
 るのはいいのかなども気になるところです。本年2月28日付の東京都と雑誌・ビデオ自販
 機協会との確認事項によれば、東京都が不健全な図書類と指定したものは売らない、学校周
 辺や通学路には設置しない、青少年向けと成人向けはまぜて売らない、18歳未満は購入で
 きないとの表示やマジックミラーの張りつけ、タイマー等による販売時間の制限、通行人が
 嫌悪するものは避け、表紙等以外のものは表示しない、出版元の不明確なものは売らないな
 ど、9項目が確認されています。

  一方、東京都による図書の購入調査では、各年度ともおおよそ2,000冊の調査がなされ
 ています。その結果によると、ここ3ヵ年では、自販機本では1冊も指定されていません。
 また、指定図書が自販機で売られていたケースは13冊、6冊、1冊と漸減してきています。
 この結果は、いずれも書店等に比べて実数、比率のいずれにおいてもかなり低い数値となっ
 ています。言いかえれば、自動販売機では東京都が指定するような不健全図書は売られてい
 ないという結果になっています。

  ところで、そうすると請願者の皆さんの言う不健全図書は東京都が指定をしなかった図書
 で、出版社が自主的に定めている成年向け雑誌などになるのだろうかと考えております。成
 年向け雑誌の販売方法を規制するとなると、規制理由とともにわいせつや不健全といったも
 の以外の新たな基準が必要になります。大人は読んでもいいが子どもはだめだということな
 のか、それとも親が嫌悪感を持つから子どもには見せたくないというのか、出版そのものに
 問題があるというのか、この請願からでは読み取れませんが、かなりの議論が必要なことだ
 と思っております。条例による規制は実効性、即効性の点でも余り期待できません。それよ
 りも、親子でこのような雑誌のはんらんについて、親としての感想を伝え、話し合っていく
 ことの方が有意義なのではないでしょうか。

  東京都では平成10年3月に青少年の自立と社会活動のための東京行動プランを定めてい
 ます。その中には自立支援の一環としてのメディアリテラシーの育成や、性に関する健全な
 判断能力の育成、また社会参加としてのさまざまな決定の場への参加促進、意見表明権等の
 権利保障などが述べられており、総合的な青少年施策の一環として健全育成を位置づけてい
 るものと私は理解しております。

  保谷市として、条例を考えるのであれば、青少年が置かれた状況をどうとらえ、その成長
 をどうサポートしていくのかという視点に立って、行政の果たすべき役割を定めたものにし
 ていかなければなりません。いわゆるアダルト物が青少年にどのような影響を与えるのか十
 分調査研究を行い、自動販売機についてどのような対策を立てていく必要があるのかを、青
 少年自身もメンバーに加えて慎重に検討する必要があります。一方、自動販売機設置業者と
 の交渉を進めるために、市が要綱をつくるなど、必要な体制を整える方が、緊急かつ実効性
 があるものとなるのではないでしょうか。

  以上、条例での自動販売機の設置規制は安易に行うのではなく、まず条例制定の是非も含
  めた慎重な検討を行うべきであり、現時点での条例制定の請願には反対をいたします。




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