地方政治に政党はいらない |
国の政治では、国会議員を選挙で選び、議会の中の多数派が「政府」を作ります。だから、議会内多数を作るための「政党」「政党連合」必要になります。 一方、地方政治では、「政府」は市民が直接選んだ首長が役所の機構を束ねて作ることになります。政府の作り方が違います。地方政治では「政党」や「会派」は不可欠のものではありません。議会の役割が根本的に違っているのです。市民から選ばれてきた首長と、同じように市民から選ばれてきた議員の集まり「議会」が相互に牽制し合い、緊張感を持って政策等をぶつけ合い市民利益の実現に努めるというのが、地方政治のあり方です。 さらに、地方議会に政党がいらない積極的な理由は、物事の決め方が市民の目に見えなくなるからです。政党あるいは会派というものは複数の議員が集まって、ある政策の実現を目指します。「党内(会派内)議論」というものがあるのだと思います。これは市民には見えません。さらに、一つの政党(会派)で多数派が作れない場合には政党(会派)間の議論(または調整)が行なわれます。これも市民には見えません。 こうして出来上がった多数派が合意内容を可決するためには、議会で議論をするわけにはいかない。政党(会派)間で合意したものはガラス細工のようにもろいものです。そーっと扱わないと壊れます。少数派からの批判は別にして、自分たちの本音が出てきてしまうと収集がつかなくなります。だから議論が出来ないし、その結果、市民にはなぜその政策が必要なのかが全く見えないことになってしまうのです。 世論調査での市民の多数意見が、議会の中で少数意見になってしまい政治不信が起こるのは、議会が議論をしないことが原因です。政党(会派)政治が地方の政治をゆがめています。 私は、物事を決めるというのは「市民の納得を得ること」だと考えています。納得してもらうためには市民が持っている疑問を一つひとつ解消するような、公開の場で議論が必要です。この議論は議員ひとりひとりが自分の見識・知識をフル動員してやればいいことです。政党や会派は必要ありません。議論を尽くしてもなお合意に至らないときには、どちらを選ぶかの投票をすればいいのです。多数決は少数派に納得してもらうための手段の一つです。したがって、多数決にいたるまでのプロセスが大切なのは言うまでもありません。それが議会での議論であり、それがあって初めて市民の納得が得られるのです。 私は「数の論理に組しない」「ひとりの言い分であっても正しいものは正しい」「市民にわかる議論を通じて物事を決めよう」という考えをはっきり示すために、政党に所属せず、会派も作らないことを宣言しているのです。 数の論理で行政の側にも問題が出てきます。行政は議会の決議を得なければ政策を進められません。そのために「多数派工作」をすることになるのですが、ここで馴れ合い、もたれあいが発生します。「市民の意向はともかく、議会の多数の意向には添わなければならない」というわけです。この多数が「与党」という塊を作ったら、待たれあいの完成です。議会は沈滞していきます。「野党」もこの構造自体を壊す考えはありません。「野党」が望んでいるのは、自分たちが「与党」になることです。 私は市民の皆さんの目に見える議論をすることによって、この構造自体を壊そうと考えています。「地方政治に政党はいらない」政党がはびこっている現状を一緒に変えていきましょう。市民の厳しい監視の目があればできることです。 |