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 森てるおの拡声器 <第28号> 2006年1月発行  (html版)


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大気汚染調査資料採取<写真>

アスタ市営駐車場、指定管理者の指定は先送りに!
 指定管理者はアスタ地下の市営駐車場だけが持ち越しになりました。6月議会で条例改正を行なった時には、「指定管理者は公募する」と説明されていました。しかし出されてきた案は末木旧田無市長が社長に天下っている「潟Aスタ西東京」を指定するものでした。「公募する」と言明した6月から何が変わったのかとの質問に、市長は「潟Aスタによる運営は順調。20年、30年もかかる再開発の成功に市は責任がある。市営駐車場は再開発ビルの中という特殊事情がある」などと答弁しました。事情は6月以前も同じです。
 6月の「公募」から7月には一転「特命(指名)」に変わったのだから、変更するだけの理由があるはずです。「市長の答弁では理由がわからない。決定過程の文書資料、会議録等を出すように」と要求して質問を保留、議案は継続審議になりました。
 市長と「潟Aスタ社長」との関係が不透明だと追及されているさなか、当の会社に「特命」で市の業務を行なわせる神経が私には理解できません。社長の交代や株の購入を求めたりすることと違って、市営駐車場で指定管理者を公募することは、市が決めればできることです。それができないのは、不当な圧力があったのか、それとも弱みでも握られているのかと疑わざるを得ません。「不透明な関係」はよりいっそう不透明になってきました。

議員定数の削減提案を否決
 「議員定数を28名以下に」という陳情と「28名に」という議員提案がいずれも否決されました。現条例の定数は30名。前回選挙は合併から間がないとして、但し書きで定数を36名としました。
 陳情には理由が書かれていません。議員提案の説明では@30名は他市と比べて多い。A財政難の折、議員自ら身を切ることが必要との理由でした。「身を切る」のであれば、まず二重取り報酬の廃止や議員特権の剥ぎ取りを自らやるべきですが、答弁では提案者の関心は数を減らすことだけでした。議員に何をさせるのか、そのために何人が必要か、議員報酬等に総額いくら払えるかなどが定数を決める条件になります。地方議員の最大の役割は行政監視です。地方分権の時代、しかも価値観が多様化する中では、より多くの目を行政監視に向けることが市民の利益につながります。
 西東京市が個々の議員に支払う報酬等は、人口15万人以上20万人未満の「同規模他市」よりも100万円以上低い金額になっています。定数分の議員に支払う報酬等の総額も「同規模他市」に比べ一段低い金額になっています。「同規模他市」は定数が少なくても議員報酬が高いのです。西東京市が出せる報酬総額を少数で山分けさせるより、100万円低い報酬で、より大勢の議員を雇うほうが市民の利益になると私は考えます。いかがでしょうか。

保谷駅南口再開発
 スポーツ企業による再開発ビルの「買い取り表明→撤回」によって設計の修正が必要になった。その費用1600万円は誰が負担すべきかとの質問に「不透明だ、調査する」と答えていた市長。公約となっていた調査の結果がやっと出されてきた。
 しかし、内容はもっぱら言い訳に終始しており、各時点での方針の選択や市の判断は妥当だった、と結論付けていることにはがっかりした。いかにも市長らしい。不都合が起こった場合に備えて、どこまでが誰の責任かを決めておくのは世間の常識だ。民間企業では、責任の分担を決めないで会社が損害をこうむることになったら、担当者と上司は間違いなく責任を問われる。
 この件にかかわる住民監査の結果は、「市は損害賠償を請求できる契約を結んでいなかった」としてスポーツ企業に支払い責任はないと結論付けている。明らかに市の契約ミスだ。
 仕方がない、誰の責任でもないといわれて、市民が納得できるわけがないでしょう。市民が払った税金を濫費して省みない行政の体質は許せない。さらに追及を続けよう。

市長は発想の転換を!
 シュリンキングポリシー(縮合政策)といわれるものについて、フランクフルト・オーデル市の市長の話を聞く機会がありました。人口減少に乗じて、逆に市民生活を豊かにするという発想は大変参考になりました。そんなことを念頭に置きながら、今回の一般質問では、高齢化が進み人口が減少していく中で、何を政策の柱にしていくのか市長の考えを聞きました。聞き方が悪かったのか、はぐらかされたのか判然としませんが、危機感の乏しい発言に落胆しました。
 市長は「西東京市の人口は減らない。市の経済の縮小は起こらない」と言い切りました。国の借金が799 兆円にもなり、国が国民負担の増大と地方への歳出カットで財政の帳尻を合わせようとしている中で、それと無縁に西東京市がこれまでどおりの状態で存在できるかのような認識に正直あきれています。
 都市基盤の整備で過剰な社会資本を抱えることになる危険性を考えたら、政策の根幹は市民が快適な社会生活を送るために不可欠なものから順に、メリハリをつけた優先順位をつけることが必要でしょう。都市基盤の整備はほどほどにしたほうがよさそうです。
 以前訪れた地方都市では市役所周りの歩道の波うち、敷石のはがれさえ放置されているのを見ました。車椅子での通行は大変困難でしょう。補修する費用が出せないのだと思います。形あるものは壊れる、壊れたままというわけにはいきません。そんなことも考慮に入れて、いま何に貴重な税金を使うのか、ぜひ考え直してほしいものです。

国民保護計画って意味あるの?
 来年度には国民保護法の緊急対処事態、武力攻撃事態による「国民保護計画」の策定が各自治体に求められてきます。西東京市民がどこかに避難するとして、避難する先の住民・市民はどこに避難すればいいのかと考えれば「一千万都民の避難先などない」という現実はわかるはずです。
 先ごろ、弁護士を含む市民グループが「国立駅前にミサイルが着弾した」という想定で国立市民の避難シミュレーションを作成、その報告会があり参加してみました。結論としては、市内避難だけでも収拾のつかない混乱が発生し、行政では対応しきれないことが明白になりました。「国民保護計画」に基づく住民避難の場面ではどの自治体も自分のことで手一杯、どこからも応援が来ないのだから当然です。こんな、素人でも不可能とわかることを真顔でやれと言う政府というのはいったい何なんでしょうか。
 いまさらながら、戦争に備える国づくりではなく、戦争できない国づくり、戦争しない国づくりをすることこそが必要だと実感しました。市民に逃げ場はありません。

リサイクルプラザの見直し方針
 リサイクルプラザは計画が市民参加で進められてきたとはいえ、本当に有用な施設になっていたかどうか疑問がありました。盛りだくさんの機能を詰め込み、その結果過剰設備に陥ってしまうケースは枚挙に暇がありません。そもそもリサイクルプラザ建設の発端は、防災福祉総合センターの建設で保谷庁舎が東京都の緑化基準を満たさなくなったことにあるようです。そのための土地を合併特例債で買い増した、だから合併特例債の用途に合った施設を建設せざるを得なくなったのです。必要な施設というより、国からお金を引き出すための施設建設という、毎度おなじみの構図です。今となっては、緑化基準と合併特例債の適用条件を満たした最小限の施設を建設するしかありません。しっかり見直しましょう。

おとなげない話
 建設環境委員会が行政視察の目的地として、桑名市の「くるくる工房(リサイクル施設)」を選んだ。その情報を聞き込んだ市長が先陣を切って、抜け駆け的に「視察」。「おぎょうぎが悪い!」と憤慨する委員に「費用は私費です」と、あたかも「私用だ。文句を言われる筋合いはない」とでもいいたそうな市長の答弁にびっくり。
 のちに「旅費にはもう枠が残っていなかったので、市長が私費で行った」との担当部からの説明で公務だったことが判明しました。ただ、市長がどう認識しているのかは判然としません。
 それにしても、ひと言「私も見ておきたい。日程の都合で先に行くことになるが了解してほしい」と断っておけばすむことなのに、おとなげないことです。それに目くじら立てるのもおとなげない話です。

循環型社会を本気でめざせ
 「その他プラスチック」のリサイクル処理が義務化された1998 年から、法に違反して実施を先送りしてきた西東京市は、さらに2005 年度から実施するとした自らの「廃棄物処理基本計画」にも違反し、法律遵守を来年度に先送りしていた。
 柳泉園構成3市で目指した共同処理は進展せず、このままでは来年度の実施もおぼつかなくと判断したのか、西東京市は単独での処理を決めた。
 「3市の信頼関係を損ねる」とか「柳泉園が西東京市のごみ受け入れを拒んだらどうなるんだ」とかの声が出ているが、それとこれとは別の話。子供のけんかではないんだから。
 法にのっとって処理をするという、市長の当たり前の「英断(?)」を評価したい。

インターン生体験レポート(2005年7月〜9月)
 森てるおは、学生が議員活動を体験するNPO主催のプログラム「議員活動インターンシップ」に参加しており、今回は2人のインターン生を迎えました。今号は宮本さんのレポートをお伝えします。

 自分がインターンシップに参加した理由は大学生としてもっと見聞を広めようと考えていたからです。もともと政治には関心があったため地域政治の現場はどんなものなのだろうかという気持ちもありました。森さんの下でのインターン活動を通じて、自分は西東京市の現状を知ることができたのですが、そこから国に依存してしまう地域の実情をも眺めることができ、道理で国の財政も火の車になるわけだなと感じてしまいました。また、森さんと会ったばかりの頃の話ですが、とあるオブジェの近くにあった元市長の名前が彫ってある石碑の前で森さんが「これどう思う」とおっしゃられたのですが意味がわからず首をかしげていると、森さんはこう言いました「市民の税金で造ったものなのに市長の名前をわざわざ入れる必要ないよね」と。つまり、元市長が自分のお金で建造させたものではないのになぜ名前を入れる必要があるのかとおっしゃられたのです。自分の地元にもそのような建造物がいくつかあったもののそこまでは全く考えが及びませんでした。
 インターン期間中のことを思い出してみると、「情報の徹底公開」「身の丈にあった政治」「市民自治」など森さんが行っていることや語ってくれたことはすごく当たり前のことでした。裏を返すとそのようなことさえも未だにできていない現実があるのです。議会における森さんはいわば孤立無援です。それでもこうして活動しておられるのは、森さんの意見に賛同してくれる多くの住民がいるからだなと今改めて感じます。かのリンカーンの名言を拝借すれば「市民の、市民による、市民のための政治」を実現させるために日夜奔走する森さん。その姿は世間一般の議員のイメージとは全く異なっていました。
 最後に、自分はこのインターンで市民による地方政治の可能性を見ました。まだまだ市民が主体となってはいませんが、完全に市民が政治に対して受身となっているとも言い難い。だが、実現のためには役所、議会の側にも市民の側にも課題は多数あります。今回のインターンでは政治に関心の高い中高年の方々によく出会ったのですが、この高い関心を次の世代の時にも持続させていかなければ市民主体の政治は絵に描いた餅に終わってしまうのかもしれない。
 果たして今の自分ができる最善のことは何なのだろうか。一市民としてそのようなことを考えさせられた夏でありました。 (中央大学法学部法律学科一年 宮本純)


お知らせ・・・「森てるおと市民の広場」 どうぞおいでください
 拡声器28号をお届けします。お読みくださったご感想はいかがでしょうか。紙面が限られており、表現が不十分な点も多々あったかと思います。また、ご納得いただけた点も、かえって疑問が深くなったとお感じになる点もあったかと思います。どうぞ、市民の広場へおいでください。皆さんが考えるより良い市政をお教えください。
― 「拡声器」は森てるおと協力者が手配りでお届けしています。「市民の広場」の開催までにお届けできないこともありますがご容赦ください。ご購読くだされば発行直後に郵送いたします。購読料は1000円です。なお、お話は随時お聞きしております。どうぞご連絡ください。―

 1 2月25日(土) 10時〜12時 西東京市民会館 3階 第1会議室
 2 2月25日(土) 19時〜21時 コール田無 4階 会議室B
 3 2月26日(日) 10時〜12時 こもれびホール 1階 会議室



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