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 森てるおの拡声器 <第30号> 2006年7月発行  (html版)


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視察:近江八幡市八幡掘 <写真>

今度は問責決議−市長、いいかげんにして!−
 6月議会の最終日、市長の問責決議が全議員の賛成で可決されました。3月議会の減俸処分に引き続いて、市長に問題があったということです。
 稲垣議員の一般質問の中で、市の青少年問題協議会の議事録を委員宛に送った際に、市長が都議時代に作って頒布してきた小冊子を同封していたということがわかりました。市の担当職員に指示して送らせていたもので、公私混同だ、頒布物を無償で配ったのは寄付行為に当たるのではないかとして問題になりました。寄付行為は公職選挙法違反です。
 市長の当初の反応は「なんか問題、あったの?」といった感じでした。
 その後の質疑の中で、この小冊子は個人で作って後援会に寄付したもので、ある高校の海外での活動を紹介し、この活動への寄付を求めたもの。「実費を頒価とした」「冊子で紹介した活動へのカンパは後援会の口座で受け付けて、全額先方に渡した」「冊子は自宅で保管し、自分の管理下にあった」などの説明があり、「後援会の収支報告書には記載していない」「無償配布もあるが、その割合や市民への配布数はわからない」ということなどが次々と明らかになってきました。
 質疑は政治資金規正法まで広がりましたが、結局、公私混同ならびに寄付に紛らわしい行為で問責決議を行なうことになり、市長が公私混同を認めて謝罪し、後援会の収支報告書を修正申告するとの釈明がなされました。しかし自宅にあるからと、後援会の物品を持ち出しては無償配布したり有償で頒布したりした分は数量が不明で修正申告はできないはず、いったいどうするのでしょうか。全部無償で配布したことにして、在庫はいつの間にか無くなっていたことにでもするのでしょうか。
 これで一区切りにはなるのですが、問題は残ります。市長自身がこれらの事柄には「不都合があると思っていなかった」らしいこと、公私混同について職員が指摘しなかったことがたいへん気になります。
 前市長時代に、市長交際費をめぐる住民訴訟で、市長は過失、担当職員は重過失という判決が出ました。市長より職員の責任のほうが重い、実務的には当たり前です。職員はわかっているはずです。それでいて市長に意見を言わないとすれば、職員が投げやりになっているのではないかと心配になります。
 職員は市長の補助職であって、政治家坂口こうじ氏の補助職員ではありません。自分が大将とばかりにお手軽に職員に指示をする市長、無批判に指示を実行する職員、こんな構図になってはいませんか。職員は市長に諫言し、市長は職員が責任を問われる立場にならないように配慮してほしいものです。

補助金の見直し、なぜしないのか!
 市長の公約に「第三者委員会を設置して市補助金の見直し」がある。時期も1年以内と明示してある。しかし、一向にその気配が見えない。市長に気がないのか、誰かが邪魔をしているのか?支障も出ている。
 中小企業従業員と事業主の福利厚生を目的として作られた「勤労者福祉サービスセンター」という市の補助金を受けている団体がある。会員が1人という事業所が5割、60歳以上の会員が5割(50歳以上だと実に7割!)、実質人件費比率が5割近いというのが実態だ。どこに「従業員」がいるのか。また、会費を払って利用していない会員も大勢いるはず。
 市がこの団体に対する補助金見直しの方針を出したのに対して、当の団体が補助金継続を求める請願を出し、なんと、可決されてしまった!賛成したのは公明、共産、自民、自民西、民主、生活者ネットと大塚議員。大多数だ。
 熱心に請願行為をしていたこの団体、事務局長は歴代、市の退職職員が勤めている。私は、この団体はいまや人件費を支払うための存在、事務局長は天下りポストとの指摘もしている。第三者委員会を設置すれば、真っ先に見直し対象になるはず。市長は公約どおり、早急に補助金見直しの第三者委員会を作るべし。

アスタ社長問題は
…いち議員が口を挟むものではない?…
 保谷育彦議員「取締役会に対して株主総会で拒否権を発動するつもりか」
 市長「社長人事についてはオーナーでもある取締役会の決定を尊重する」
 保谷議員「一議員が別会社のことについて発言することをどう考えるか」
 市長「議員の発言権は最大限尊重されるべきだ」(以上要旨)
 何なんでしょうね、このやり取りは?私に黙れとでもいうのでしょうかねぇ。
 議員は口を出すのが仕事。問題は市が出資する会社で天下り社長(末木元田無市長)を許している市長にある。オーナー取締役らによる仲間内の決定なら天下りもOKなのか!
 世の天下りは全部、アスタ同様に、会社側の要請で行なわれているのだ!

市長はパフォーマンスがお好き?
 市長のパフォーマンス、給与、退職金の削減案がようやく成立。多すぎるなら、退職後、市に寄付すればいいだけの話。変えるのなら報酬審議会を開くべき。報酬審が決めた給料に文句を付けるパフォーマンス!
 都議時代の行動パターンが今も続いている市長。議員は自分を売り込むために、「あんなことも、こんなこともやります、しました」と自己主張するもの。おまけでパフォーマンスをする人もいます。しかし、議員に行政執行権はありません。責任も問われません。
 市長がこれと同じ感覚で仕事をしたら不都合が出てくるのは当たり前です。行政の仕事の結果は、全部市長の手柄になり、また失策にもなります。市長の職にありながら、自己主張のパフォーマンスばかりしているのは、山の上にいてなお、「私がいっちばーん!」と叫んでいるようなもの。まわりの職員や市民が迷惑します。

今、再び民主主義を選び直すことが必要!
 小泉政権の5年間に、この国の民主主義はかなり危ないところにまできています。しかも、いわゆる小泉人気を最大限に利用して、国は市民自らが現状を選び取ったかのような装いを纏わせています。しかし、法的強制をちりばめて、反対するのは抵抗勢力と言い換え、反対を許さない形で万事が進められてきました。実は小泉政権に従順になることを強要してきた5年間であったといえます。
 国民投票法、憲法改正、教育基本法改正、米軍再編(国庫負担3兆円)、防衛省昇格、海外派兵恒久法、この裏で増税と福祉切捨て(年金切り下げ、医療リハビリの制限、介護保険給付、障害者給付切り下げ、生活保護、母子家庭保護の切り下げ等々、等)が進行し、不満の噴出を抑えるための共謀罪新設など、小泉政権と与党(自公)が考えるこの国の未来が透けて見えてきました。民主党も大同小異、「自公政権改革派」くらいのものでしょう。
 さて、この中で最大のポイントが共謀罪新設です。戦前の治安維持法での予防検束、予防弾圧の反省から、日本の刑事法制は既遂罪、未遂罪、予備罪といった具合に実行主義になっています。その前の段階、考えや思想を罪に問うことはできませんでした。しかし、共謀罪はまさにその部分をターゲットにしています。日本の刑事法体系が一転して治安維持法体制に回帰してしまうものでした。通常国会では継続審議になりましたが死んでいません。治安維持法ではすべての政党、宗教団体が対象になり弾圧されました。創価学会の初代会長は獄死しています。
 小泉政権がこの国に残した傷跡を、市民の力で修復することが必要だと思います。その出発点が「共謀罪新設」の阻止です。
 民主主義は成熟した市民社会に育ちます。市民社会が成熟するためにはコミュニケーション、ディスカッションは欠かせません。自由な言論がなければ民主主義は成り立たないのです。共謀罪は、その自由な言論を取り締まり対象とし、市民社会を萎縮させるものです。廃案しか選択肢はありません。

トピックス
* 議長会による長期勤続議員への表彰制度、申し入れの甲斐あって来年度は廃止の方向。議員の特権、なぜ続いてきたのか?
* 国民保護計画を作れという国の指示。武力攻撃「災害」に備えろという。そんなものが災害かね。どう備えるというのだろうか。慎重審議を要求し、現在継続審議中。(7月26日に委員会)
* 保谷駅南口再開発の設計変更費用1699万5千円の支払いは違法として、東京地方裁判所に住民訴訟を提訴。民間では背任に当たりそうなものも行政では・・・
* 旧田無名主役宅の補修に補助金。何をどう保存するための支出か?法的問題はないのか。などなどにつき調査中。
* 初めての地区計画が二つ進行しようとしている。どちらも高層住宅との組み合わせ。悩ましいなぁ。

納得できる未来は情報の徹底公開から!
地方政治に政党はいらない!

 2期目の任期も最終盤にさしかかりました。私の活動の原点について、改めてお話します。
 自分に関わる事柄が、自分以外の誰かによって決定されるのに納得できないという人は大勢います。私もそのひとりです。自分のことは自分で、市民に関わることは市民の納得ずくで決めるためには、決めるための材料=情報が必要です。もちろん、一人の市民が持つ行政情報は市民すべてが持つことになります。「市と市民による行政情報の共有」と私は呼んでいます。その上で、今何が必要かを市民全部が見ている前で決めていく、これが決定を納得するための前提条件です。一人の市民が全部の情報に博識である必要はありません。市民の中にはそれぞれの専門分野の方がいます。決定権限が議会にあるのなら、それらの市民の前で決めようということです。理由がわかれば多数決にも納得できるというものです。
 ところが政党がでてくると状況が変わります。与党が政府を作る国政と違って、地方政治に政党は不可欠ではありません。そればかりか、地方議会は全体として行政に対置されるものなのに、多数が団子になって行政を支える側に回ったら、議会は存在価値を失います。行政と議会の癒着です。そこまでいかなくても、議会の質疑が間違いなく低調になります。(今の議会に議論はありません。行政に対する質疑と、討論という名の意見表明だけです。多数の側はしばしば討論さえしません。内部での意見の違いが表面化するのを避けているのでしょう。)
 いうまでもなく、政党は複数の人たちで作られています。政党ではメンバーの意見を束ねるための議論、党内議論をしますが、不特定多数の市民が見ている前でするわけではありません。さらに、議会の中で確実に多数を作るためには、そんな政党同士の意見のすりあわせが必要です。これも市民の目には見えません。市民が目にできるのは、物事が議会の多数で決まったという結論だけになります。理由も何もわからない、これで納得できますか。
 地方政治において政党は、市民の理解よりも多数決での決定を優先します。政党が並べるメニューに満足するよりも、自分の見ている前で、納得できる行政が行われるよう望んでいる市民がたくさんいます。そんな市民が納得できる行政にするため、市民の手で行政チェックがやりやすくなる情報を、これまで通り、業界用語でなく市民の言葉で発信していきます。



お知らせ・・・「森てるおと市民の広場」 どうぞおいでください
 拡声器30号をお届けします。お読みいただきありがとうございました。ご感想はいかがでしょうか。皆さまのご意見を伺ったり、市民の皆さま同士で意見交換ができる機会になればと考えて、市民の広場を開いています。どうぞお気軽にお越しください。
―「拡声器」は協力者と森てるお自身が手配りでポストにお届けしています。「市民の広場」の期日までにお届けできないこともありますが、どうかご容赦ください。ご購読くだされば「なんでもリポート」ともども郵送させていただきます。お話は随時お伺いいたしますので、お気軽にご連絡ください。―
 1 8月26日(土) 10時〜12時 こもれびホール 1階 会議室
 2 8月26日(土) 19時〜21時 コール田無 4階 会議室B
 3 8月27日(日) 10時〜12時 西東京市民会館 3階 第1会議室



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