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 森てるおの拡声器 <第33号> 2007年3月発行  (html版)


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ちょっと味見 <写真>

皆さん納得できますか?
― 07年度の予算と議案、森てるお以外は全員、全部賛成!―

 3月の議会では、専決処分(議会に諮らずに市長独断で決めてしまったこと)を承認するかどうかの1件を除いて、森てるおのほかには議案に反対票を投じた議員が一人もいませんでした。(採決前に話し合い?談合?)
 予算が提案された今議会は、市民負担増の是非と組織改正が最大のテーマでした。市民負担増、平たく言えば値上げなどです。住民票、印鑑証明などの発行手数料,下水道使用料、文化スポーツ関連施設の使用料などの値上げが提案され、ごみ収集手数料の新設も提案されました。(組織改正と施設使用料については結論の先送り、継続審査です。)
 今回の値上げ提案では、料金の計算方法(積算根拠)がはじめて明らかにされました。ひと言で言えばその部署での仕事全部の必要経費を、作業に要する労力(時間)で割り返した金額を手数料額にするものです。実際にはそこまで取れないという説明でした。しかし、大きなごまかしがあります。
 行政には税金を使って行なう固有の仕事があります。たとえば、市民課では市の仕事に必要な基盤作りのために、税金を使って住民基本台帳を整備します。住民票の発行手数料に基盤作りの経費まで上乗せすると、すでに税金で払った分を再び手数料で支払う「二重払い」の部分が出てきます。
 下水道使用料も同様です。独立採算と説明されていますが、下水道事業には衛生管理、環境施策等の行政目的があります。その実現のために市民は税金を払っています。全部の経費を使用料で取るのを原則にするのなら、税金を払う必要はありません。下水道事業に税金をつぎ込む根拠がなくなるのです。
 ごみの収集手数料の新設にも同じ考え方が導入されています。しかし法律上、廃棄物の処理は「行政固有の事務」とされていて、税金で行なう仕事です。公平性の観点から、人の何倍も多く出す人に費用負担を求めるのならまだしも、全部を有料化するのでは「行政はごみの処理をしません」といっているようなものです。行政の膨大なごみ処理費用は、生ごみなど一部を除けば本来、商品に上乗せすべき物です。そうすれば、使った人がその費用を払うことになり、公平なものになります。国の施策がそうなっていないからといって、安易に住民に負担を転嫁するのは間違っています。
 委員会では「与党(民主・社民、共産、生活者ネット、無所属1)」側の質疑はあまりなかったようです。結局、自民、公明も賛成したので、本会議での反対は森てるおだけになりました。市民負担を求める議案が、淡々と、全員の賛成で決まっていくのは奇妙な光景です。党派の陰に隠れるのではなく、個々の議員がこの市民負担の増加に説明責任を果たすべきです。党派、会派の締め付けがなかったらどうでしょうか。もう少し、市民に理解できるような議論、意見が出てきたのではないでしょうか。

行財政改革に逆行する「副市長2人制」に反対!
 助役、収入役を廃止して副市長を置く法律改正がありました。「定数は条例で定める」と決められていて、市長は「2名」を提案しました。
 「トップマネジメントの強化のため」というのが理由です。だったら普通はトップをスリム化します。2人制はトップを肥大化させるだけです。行財政改革にも逆行します。納田議員の賛成討論のように「行政の横断的な施策展開を計る」のが目的なら、人口20万人程度の西東京市、市長でできます。それが市長の仕事です。副市長を2人にして楽をしたいのですか? それとも管理職ポストを減らさないためですか。
 「定数は2人にするけど、選任は1人」という妥協ができたのか、森てるお以外の全員が賛成しました。とても理解できません。市長の主張は行政課題に対処するためのトップマネジメントの強化。でも妥協できたところを見ると副市長一人でいいんでしょ? 反対した人たちの主張は「合併の一番たいへんな時期はすぎた」というもの。だったらなぜ、副市長二人を条例で決めるの?必要性が出てきたときに決めればいいんじゃない?両方とも論理破綻しています。
 副市長1人には給与だけで年間1000万円の費用がかかります。その他必要な経費を含めると1700万円くらいになるそうです。皆さんどうしましょうか?

審議会って何でしょう?
 今回の値上げなどに当たって何度も「審議会から出された結論を尊重して決めた」という説明がありました。ところが、国民健康保険料については「結論どおり」にはなっていません。当然、「なんで?」と聞くのが森てるおです。
 与党議員にはこれが気に食わないらしい。与党席から「審議会の結論どおりに決めたのがけしからんと言いながら、今度は結論どおりにしないのがけしからんと矛盾したことを言っている!」というような野次(ぼやき?)が聞こえてきました。
 「審議会」というものがわかっていないんですね。審議会がどんな結論を出そうと、決定するのは市長です。「審議会の結論を尊重した」と審議会に責任転嫁しているから、健保で結論どおりにしなかったのはどうして?と聞いたのです。結論どおり値上げしろ!とは考えてもいません。
 審議会は「市長の諮問機関」です。値上げのお伺いを立ててその通りの結論が出たのに「値上げしません」では、諮問した意味はありません。それだったら、初めから聞かなきゃいいんです。
 審議会の結論を受けて、値上げ提案をするのは市長です。審議会でどんなことが話し合われてどんな結論が出たのか、議員が賛否の判断をする材料のひとつですが、審議会の結論に議員は拘束されません。
 そんなこともわからないで野次るとみっともないことになります。だからボヤキにしかならないんですね。

組織改正について
 今議会には組織改正の議案が出されていました。法律上、事務は分掌(分けて受け持つこと)することになっていますので、どのように改変しても縦割りになります。わかりやすくなる反面、わかりにくくなる部分も当然出てきます。程度問題に過ぎません。
 今回の改正が特殊なのは「安全安心対策室」という係が一つしかない部局を作る点です。担当する事務は防犯、防災、国民保護。職員数9名、予算額25億円余。そのうち22億円は東京都への消防委託費。人件費等を除けば2億5千万円弱の予算額になります。とても部クラスの仕事量ではありません。当然です。防災は消防、防犯は警察が常備組織として整備されており、市の役割はほとんど連絡調整にとどまります。
 部クラスとしては少なすぎる予算で、9人もの職員をつけて何をさせるのかという疑問が出てきます。私は、国民保護に名を借りた住民総動員計画、訓練の実施に主眼を置いているのだろうと判断しています。地域での戦争体制の準備です。
 部局を作れば仕事をさせないわけにはいきません。余計な仕事が作られ、無駄遣いも生まれます。この部局を独立させる必要性はまったくありません。

生活者ネットってなにもの?
 生活クラブ生協の組合員ですので、生活者ネットの活動報告が「自動的」に届きます。「これって何なの?生協活動?」と思いますが、まあいいでしょう、次の機会にしましょう。その、議会報告についてです。
 値上げのことが「あまりよくない?ニュース」として紹介されています。「ちょっと待って!賛成(推進)したでしょう?他人事なんですか?」とびっくりしました。説明も間違っています。「住民票を一枚発行するのに500円かかる。手数料200円だと300円は税金から。税金として納めるか窓口で払うかの違い。」といった趣旨の説明がされています。だったら手数料は500円にしなければおかしいですね。差額分には窓口に来ない人の税金も入っていますから。
 手数料や使用料を引き上げて、副市長を二人にするのですね?(副市長二人にも賛成しましたよね?)
 「いいニュース」という欄もあります。「生活者ネットにとって、いいニュース」といってほしいですね。有料化とセットになったごみの個別収集、評価してない人もいますよ。そもそも、税金をつぎ込んで手放しで喜べる施策というものがあるのでしょうか。私は100%の市民が納得する施策はあっても、100%の市民が満足する施策があるとは思っていません。だから「説明責任」が問題になるのです。自分の政策の実現だけを図るというのは利権政治です。

トピックス
★ 前助役が3月12日に辞任。当初予算の審議のさなか。辞任するのも、慰留しないのも理解できない。何かあったのかな〜
★ 市の交通計画・道路整備計画で、数値のちがう新しいデータがあると指摘されて、データは差し替えるが結論は変えないという。ずさんな計画!
★ 説明会も開かず、100ページを超える計画書にパブリックコメントを求め、市民参加だという。コメントが来なくて当然。おざなりな「市民参加」!
★ 保谷駅南口再開発で土地明け渡し請求へ。行政の手法としていかがなものか。弁護士費用と収用にかかる経費でなんと!最高7600万円の支出。
★ 代表質問での答弁を踏まえた質問に、同じ答弁が帰ってきた。そりゃぁないだろうと文句を言ったら某党議員に怒られた「同じ答弁で当たり前だ!」 ???

本会議採決で大ポカ
 予算から企画総務関係議案までに8件の反対討論。文教厚生関係議案の採決中に、次の討論はどこかと議案一覧に目を落としている間に、「西東京市田無総合福祉センター条例の一部を改正する条例」の採決が終了、手を上げそびれてしまいました。可決にはなったけど、もちろん記録上、森てるおは「反対」。関係者の皆さんごめんなさい。

お詫びとおことわり
 今号には本来、議員報酬の使い道のご報告を掲載するのですが、整理が間に合いませんでした。次号に掲載しますのでご容赦ください。

地方自治、住民自治を再構築しよう
 統一地方選挙が終わりました。私が参加する「市民自治をめざす三多摩議員ネットワーク」の関係でも、新しい当選者もあれば、落選者もありました。そのことにはさまざまな評価、評論が可能かと思います。地方自治、市民自治とはどういうものかをこの機会に再度考えて行きたいと思っています。
 この統一地方選挙については、国政のバロメーターだとか、参議院議員選挙の前哨戦だとかの観点で、マスコミ報道などがなされています。それが地方自治を好ましくない方向に押しやっています。
 別のところで何度も言っていることですが、私は地方政治に政党はいらない、むしろ困った存在だと思っています。法律で国に大枠を定められ、不自由な部分が多いとはいえ、地方自治体は市民にとって最後のセーフティネットという側面があります。政党の利害得失に従属させてはならないものがたくさんあるのです。それなのに国政にこじつけ、評論するマスコミ報道は、自治体の役割ということを考えた場合適切なものとはいえません。何党が何名受かった、何系が減ったの増えたの、自治体議員の役割と違ったところで報道がなされています。そのあげく、政党名だけで能力も疑わしいような議員が誕生することに手を貸しているといわざるを得ません。
 政党は支持者の意向を押し通すための組織です。本質的に筋道よりも票を好むものです。マイノリティよりマジョリティに付きます。そして、党員は決められたことを守る存在です。議員も個人の資質はあまり問われません。党が立派な方針を持っていても議員がそれを体現しているとは限りません。
 地方自治体は市民の健康かつ文化的な生活を保障するための共同体です。市民が自分自身の主人公になっていくための研鑽の場でもあると思います。少しの見せ金を基に国から補助金を得て借金をして「財源」を捻出し、ハコモノ作りにいそしんできた政治家と行政。それを「最小の経費で最大の効果が出た!」と吹聴し、あげくに借金苦で財政破綻をきたしていくというのが、これまでのおねだり行政、たかりの構造の結末です。政党に責任がなかったとは到底言えません。いま「どの自治体も夕張市(赤字再建団体)になりうる」ということが現実味を持って懸念されているのです。
 西東京市がその危険に直面しているとは考えていませんが、そうならない保証はありません。かといって、それを避けるために市民に負担を転嫁した西東京市の今回のやり方が、賢明とは言えません。自治体は何かをやるために税金を集めるのであって、集めた税金を使って何かをやるのではありません。だから、何をやるかの説明責任が出てくるのです。納得してもらわなければ、市民に税金などの費用負担をさせてはならないと森てるおは考えています。票におもねりマジョリティに付く政党に、説明責任が果たせるとは思っていません。地方政治に政党はいらない、あらためて確信しています。



お知らせ 「森てるおと市民の広場」 どうぞおいでください
 拡声器34号をお届けします。お読みいただきありがとうございました。ご感想はいかがでしょうか。皆さまのご意見を伺ったり、市民の皆さま同士で意見交換ができる機会になればと考えて、市民のひろばを開いています。どうぞお気軽にお越しください。
――「拡声器」は協力者の市民と森てるお自身が各戸のポストに、手配りでお届けしています。年間4回市内各所に行きますので、町の様子、変遷がよくわかります。業者頼みでは得られない貴重な情報が手に入ります。「市民のひろば」までに届かないことも多々ありますが、ご容赦ください。ご購読者には出来上がり次第、郵送でお届けしています。「市民のひろば」は2月・5月・8月・11月の最後の週に行なっています。――
1 5月26日(土) 10時〜12時 西東京市民会館   3階 第4会議室
2 5月26日(土) 19時〜21時 コール田無     4階 会議室 B
3 5月27日(日) 10時〜12時 保谷こもれびホール 1階 会議室
 日時、会場をお間違えないようにおいでください。



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