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 森てるおの拡声器 <第35号> 2007年10月発行  (html版)


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義家氏の講演中止を申し入れ <写真>

中学校給食に賛成?それとも反対?
・議会任せにすれば、実施に
 7月に中学校給食についての学校給食審議会の答申が出されたこともあって、9月議会では、給食実施の要求が合唱のように聞こえてきました。中学校給食の実施には大きな費用がかかります。そのためか、議会の大合唱を受けてなお、市は実施に踏み切れないでいるように見えます。議会では、中学校給食について問題提起をし、はっきりと反対しているのは森てるおしかいないのが現状です。
・自助・共助・公助で言えば「自助」
 私は毎日、子どもと連れ合いが持っていく弁当を作ってきました。毎日の弁当作りが大変なのはよくわかります。しかし、だからといって費用も含めて行政にやらせるのがいいことなのだろうか、という基本的な疑問を持っています。弁当作りは、努力すればできることです。今は私が作っていた頃と違って、作りきれなかったときなどは、会社や工場で従業員が食べているような給食センターのお弁当を、当日の朝、学校で頼むことができます。(たまには子どもが作るのもいい。ちなみに、私の長女は親が作る玄米弁当はいやだといって、中学の3年間欠かさず自分で作って行きました。)生活格差が広がる中、所得が低く、早朝勤務や病弱などで弁当が作れない人には、別途方策を考えればいいんです。家庭で作るのが当然だということではなく、いろんな考え方、やり方で工夫をし、柔軟に施策を組み合わせれば、大きな予算を使ってまで一律に、行政にやらせる必要はなくなるということなのです。
・税金の使い道は市民みんなで考え、有効に
 「中学校給食は70%もの要望が上がっている」と説明されていますが、関係者に「いりますか、いりませんか」と聞いたら、多くは「いります」と答えるに決まっています。肝心なのは、税を負担する立場の人たち(市民)のおおかたの同意を得たのかということです。導入時の費用で8億円から10億円、毎年の費用は2億円から3億円が必要です。当然その分、他の施策は犠牲になります。この問題は障害や高齢など、自分では何ともできない状態の人たちをさておいて、自分で何とかできる人たちのために優先して税金を使うべきなのか、という政治や行政の根本的な問題に行き当たります。
 「政策の優先順位は市民が決める」という自治のあり方に関わる問題です。私は中学校給食の優先度は高くないと考えていますが、関係者だけではない市民の皆さんが実施を認めるのならば、それをも否定するつもりはありません。ただしその際には、市の財政は有限ですから、他に必要であっても実施できない施策が出てくるということは理解しておかなければなりません。自分の町は自分で責任を持って運営する、それが「自治」というものです。市長や他の誰かにおまかせするのではなく、市民自身の責任で物事を決めることが必要です。そのための情報をお届けしています。

東大農場に分断道路は要らない!
 検見川移転が予定されていた東大農場は、4万6千筆あまりに上る市民の署名の効果もあって、西東京市に残ることになりました。移転中止には行政も議会もなんら貢献しませんでした。農場が残ることになって次の心配は、農場を分断してしまう都市計画道路の整備計画がどうなるのかということです。
 農場が研究施設として残ることになった意味を考えれば、分断するなどありえないことですが、東京都も坂口市長も作りたいのが本音です。行政から求められたときに東大がどこまで断ることができるのかわかりません。そのまま残したいと思うのならば、移転中止に寄せられた市民の力を再度、行政に見せ付けることが必要でしょう。

中止された「義家氏講演会」の問題点
 法務局八王子支局と羽村市の共催で行なわれる予定だった義家弘介参議院議員の講演会が、講師の都合という理由で中止になりました。  法務局には電話で問題を指摘した上で、9月11日に森てるお名義の文書で中止を申し入れ、その後中止になりました。9月20日には法務省に「中止になったものの、問題点は解消していない。政治家を講師にするのは行政の公平性の観点から問題がある」と三多摩地域の議員22名の署名を添えて改めて申し入れに行きました。
 その結果、法務省から「税金で政治家を講師にするのは問題だとの共通認識はある」「政治家を講師にすることには問題があるということで今後検討を進める」との見解が示されました。
 6年前には大仁田厚氏、今回は義家氏で人権啓発ビデオを作り、回収する事態にもなっています。法務省が政権におもねって、政権寄りの人を起用するからです。もう、いい加減に懲りたら?

国際園芸博覧会(花博)は必要か?
 多摩地域で国際園芸博覧会を開催するように求めた商工団体の請願を受けて、東京都に対する意見書が、私以外の全員賛成で可決されました。国際園芸博覧会を開催するには東大農場2個分の最低面積が必要で、昭和記念公園での開催計画だそうです。
 「花と緑の価値を見直す」とか「環境との調和」と言いつつ、「交通網などの都市インフラの整備」で「理想的郊外」を作るとか、「都市農業や産業の発展」とかを謳っています。誰かが儲ける商業主義的オリンピックの東京誘致、問題があるとの指摘を引きずりながら開催され続けている国体の多摩地域での開催、そして花博。国と地方合計で1千兆円も借金を抱える国の費用を当てにして、旧来型発想での開発イベントを要求する考えがよくわかりません。1千兆円の借金は国民の負担です。「イベントを楽しんで借金にまみれよう!」ということにならないか、たいへん心配になります。自分の足を食うタコにならないか、疑問です。

助産所が崩壊の危機に!
 最近、病院による「妊婦の緊急入院受け入れ拒否」が大きな問題になっています。背景には少子化による産科医の減少などがあります。出産は8割が正常分娩です。助産所では異常分娩の処置(医療行為)は出来ませんので、扱うのは基本的に正常分娩だけです。異常があれば、提携している医師に処置を委ねます。法改正では、産科医及び小児医療機関の二種類の嘱託の確保が助産所の義務となり結果的に助産所の開業や、継続が非常に困難になりました。
 そこで議会では「安心して出産ができる環境の整備を求める意見書」を全員の賛成で可決して、国の責任で嘱託医を確保するように求めることになりました。孫・子7人中6人が助産所での自然分娩という森てるおも意見書には大賛成しています。

「審議未了」って何でしょうか?
 議案の取り扱いの中に「審議未了」というものがあります。委員会で結論を出さず、継続審査にもしなければ「審議未了=廃案」ということになります。今議会では、陳情、請願で4件もありました。提出者の意に沿う形で、あるいは沿わない形で解決してしまったもの、個人情報や民間同士の話し合いに関わるものなど、一つひとつにはそれなりに理由があります。しかし、さすがに目に付きます。採択できないものならば不採択にすべきだと思うのですが、陳情、請願を出す側の市民はどのようにお考えになるでしょうか。

公園設備、一部使用停止に! −いこいの森公園−
 いこいの森公園でのスケートボードの使用と噴水(水遊び場)の使用が中止になりました。騒音がひどいとして近隣住民が申し立てていた使用差し止め請求を裁判所が認めたためです。この規模の公園で隣地との境界が素通しのものは見た記憶がありません。当然、何らかの騒音対策は必要です。短期的には音をさえぎる塀、将来的には境界に樹木を植えて音の減衰を図るなどが考えられます。公園作りに関わった公園好きの市民は、家のすぐ前に公園が広がるのを歓迎しても「問題があるかもしれない」とはなかなか想定できません。かつて、はなみずき公園の「清流」で騒音問題を経験している行政は問題提起できたはずです。

小金井ごみ問題
 ごみは自区内処理が原則です。ところが小金井市は自前の焼却炉が使用不能になり、広域支援として多摩全域に焼却を委託しました。焼却場が使えなくなるのは早くからわかっていたことで「小金井市の失政の後始末をするのかと」いう声も出ています。
 法律に決められた基本計画を持っていない違法状態の小金井市と委託契約を結ぶのは違法だとして、柳泉園に監査請求をしました。ところが、監査委員は小金井市に言及する権限がないとして契約を容認しました。違法な相手方(小金井市)との契約が違法だと指摘しているのに、そこを避けたら監査をしたとはいえません。監査委員が聞いてあきれます。
 単年度の支援だとする柳泉園、他方で支援の継続を前提に基本計画を書き換えた小金井市。いずれ、住民訴訟も視野に入れて、再度監査請求をする必要があると考えています。今回については住民訴訟は見送りました。

保谷駅南口再開発事業
 「スケジュールどおりに進めるためには、8月中に建設業者に土地を引き渡さなければならない」として、市が地権者を相手に起こしていた明け渡し訴訟で、和解が成立しました。裁判だけで見込みを3ヶ月超え、和解条件を加味したら6ヶ月も事業に遅れが出ることになりました。議会の承認を得ない「専決処分」までして訴訟に踏み切った市長の判断が間違っていたということです。市は厳しい選択をしたといっています。しかし和解ですから、地権者も同様に、厳しい選択をしたことを軽んじてはなりません。
 また、森てるおが原告として「出店を確認したはずの企業が撤退し、設計の修正で必要になった費用は担当職員が支払え」と求めていた住民訴訟は、訴訟が可能な期間をすぎているとして却下されました。市長が賠償請求(時効は3年)をしない以上、住民が監査請求できるのは、この場合も、問題があってから1年以内に限られるということがわかり、訴訟の継続を断念しました。訴訟準備の中で、契約するための前提条件が整わないのに設計の委託契約をしたことが問題だったと再確認できました。行政監視の視点が一つ豊富になり、おおきな収穫があったと考えています。

都市基盤の整備ってな〜に?
 大きな道路ができると便利になると思いますか。運転者というのは私も含めて身勝手なもので、新しい道路などは自分だけが使うものだと思っている節がありますから、なんとなく便利になる気がします。しかし、たくさんの人が使わなければ投資効果がありませんから、作る側にしてみれば車はたくさん通ったほうがいいに決まっています。結果としては渋滞が起こり、かえって時間がかかることになります。便利になったのかどうかさえ疑わしいものです。
 運転者はこの程度のことにすぎませんが、道路沿道の、運転しない住民にとって事態は悲惨です。何の利便性も感じないのに、通る車が多くなるのに比例して騒音や排気ガスが増え、環境悪化に曝されます。公共の福祉のためにと被害を「我慢」させられます。その典型が東京都心部。沿道だけでなく、都心一帯が大気汚染物質で覆い尽くされてしまいました。喘息の発症者もたくさん出ています。
 伊豆諸島で3日も過ごして戻ってきたら東京がよくわかります。帰ってきた途端に、空気の臭さで頭が痛くなり、次の日1日くらいは頭痛に悩まされることになります。その後、次第に体がなじんで気にならなくなりますが、においの元は確実に、日々体を蝕み続けることになるのです。頭が痛くなったのは急性症状です。感じなくなったというのは、慢性症状が自覚しない中で進行しているということです。
 こんな東京に誰がしたのでしょうか。「都市基盤整備」の名のもと、道路作りを積極的に進めてきた都議会議員などは責任の大半を感じてもらわなければなりません。坂口市長もその一人ですね。市長として、西東京を都心同様の状態にしようというのでしょうか。西東京市は地理的に環境汚染を受けやすく、調布保谷線の通る保谷地域は、都の大気汚染公害病の認定患者比率がこの10 年間ほぼワースト1 位を続けています。「悪に対するに、巨悪をもってする」という言葉がありますが、他からの汚染に対して、より多くの自前の汚染で対抗するということでもないでしょうに。結局、前者は悪にまみれ、後者は汚染にまみれることになるのです。
 東大農場をぶち抜いて都市計画道路を作ろうなどということも「寓の骨頂」でしかありません。現状で所沢街道は混んでいません。新しい道路は混雑を誘発します。整備が進んだ都心部はいまだに混雑を解消できません。それでも都心部ならば、健康を危険にさらしても、物や金が落ちるという側面があります。それでいいんだという考え方もあります。西東京市はどうでしょうか。
 住宅都市だから物を集めるところもお金を落とすところもありません。結局、よその車が「便利に」通過していくだけになります。そのための道路でしかないということです。住民が享受するのは、便利になったという幻想と、厳しい環境の悪化だけです。道路だけではありません。住んでいる人に被害をもたらすものは、いくばくかの利点があったとしても「基盤整備」とはいえないのではないでしょうか。
 住民の犠牲の上で誰が利益を得るのか、誰が儲けることになるのかと勘ぐってしまいます。


お知らせ 「森てるおと市民の広場」 どうぞおいでください
 拡声器35号をお届けします。お読みいただきありがとうございました。ご感想はいかがでしょうか。皆さまのご意見を伺ったり、市民の皆さま同士で意見交換ができる機会になればと考えて、市民のひろばを開いています。どうぞお気軽にお越しください。
――「拡声器」は協力者の市民と森てるお自身が各戸のポストに、手配りでお届けしています。年間4回市内各所に行きますので、町の様子、変遷がよくわかります。業者頼みでは得られない貴重な情報が手に入ります。「市民のひろば」までに届かないことも多々ありますが、ご容赦ください。ご購読者には出来上がり次第、郵送でお届けしています。「市民のひろば」は2月・5月・8月・11月の最後の週に行なっています。――
1 11月24日(土) 10時〜12時 西東京市民会館   3階 第4会議室
2 11月24日(土) 19時〜21時 コール田無     4階 会議室 B
3 11月25日(日) 10時〜12時 保谷こもれびホール 1階 会議室
 日時、会場をお間違えないようにおいでください。



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