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 森てるおの拡声器 <第46号> 2011年4月発行  (html版)


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道路判決後の記者会見<写真>

3月11日、関東東北大震災発生!

 −関東東北震災で被災された皆さまには心からお見舞い申し上げます−
 地震発生時、議会では2011年度の予算審議が始まったばかりでした。職員が市内の被害調査、帰宅困難者対策など災害対応に出払ってしまい、議会は3日間の開店休業状態になりました。
 私は繰り返し流される津波の映像を見ながら、福島原発はどうなったかと気が気で仕方ありませんでした。原発の重大事故が発生していたら原発震災です。被災者の救助すらできなくなります。実際には震災当夜3q以内の住民に避難指示が出され、翌早朝には、範囲が10qに拡大されました。懸念した通り、相当数の被災者が生きたまま瓦礫の下に放置されたものと思われます。
 再開後の議会では、当然にも3・11で予算の見通しがどうなるのかが質疑の中心になるものと考えました。ところがその後の質疑は3・11などなかったようなものに終始しました。
 森てるおは質疑の中で「3・11後の状況の中では予算通りの収入は考えられない。収入がなければ事業を見直すしかない。骨組みだけの暫定予算に組み替え、収入の見通しが立ってから正規予算を出し直せ。その間、手がすく職員を大挙、機能喪失した被災自治体に派遣し、自治体業務の立て直しに協力すべきだ。」と要求しました。行政は収入が減少することだけは認めましたが、その他は明確な回答をしません。西東京市行政に非常時の対応は無理ということでしょう。

時代が変わる、社会が変わる
 3・11で私たちの生活は大きく変わることになりした。足元では、減収、倒産、失業が進行し、東北地方の地場産業、下請け産業の崩壊、それによって、部品調達不足に陥った大手企業の生産にも影響を与えています。さらにいつ終わるともしれない原発事故が東北地方の一次産業を立ち直り不能なほど打ちのめしています。一次産品の価格高騰は避けられず、不況下での食品価格高騰という二重の苦しみが私たち市民を襲うことになります。
 すべては、原発を不可欠のものとした社会、生産構造の矛盾が表面化したものであって、原発を必要としない社会経済構造へと転換していくことが求められことになります。「原発は安全」の嘘、「原発はクリーン」の嘘、「原発の電気は安い」の嘘、原発にまつわるすべての嘘をはぎ取ってしまったら原発は作れないからです。そのことを前提に社会や西東京市のあり方を考えていくことが必要となりました。そのための知恵と力を私たち市民は十分持っていると思います。



普通教室にエアコンは必要か
 昨夏のような酷暑への対策として、国・都が小中学校のエアコン設置に補助金を出すことにしました。西東京市を含む三多摩各市はこれに飛びつきました。市側の負担は借金も含めて6割、約6億円です。
 文明の利器は両面性を持っています。自然から身を守る反面、自然への対応力を低下させます。いずれを選択するかは個人が決めるべきです。学校に全面導入することは個人の選択を認めないということです。
 さらに、3・11を過ぎてもなお導入を主張する気がしれません。三多摩中の(全国の)小中学校がピーク電力の時間帯に一斉にエアコンを使ったらどうなることでしょうか。そんな生活様式をこれからも続けるのでしょうか。
 電力だけではありません。エアコン本体やその他の資機材を東北地方と競い合えば、価格引き上げ競争になります。復興の足を引っ張るつもりなのでしょうか。

ワクチンの補助を拡大
 子宮頸がんのワクチン接種に補助金が付くことになりました。ワクチン接種は弱毒化した菌を健康な体に植え付けるもので、もともとリスクがあり、昨年、乳児肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンで死亡例が出て、現在接種が見合わされています。そんな中での子宮頸がんワクチンの補助追加は理解に苦しみます。子宮頸がんは検診による発見によって治癒可能なことがわかっており、すでに補助の対象になっている検診の受診率向上こそが課題なのです。

中学校給食
 今年5月から順次実施し、来年度で完全実施の予定です。
 これも「あったらいいね」の施策です。準備に12億円、毎年3億円もかけてやるべきことでしょうか。
 お花見弁当を毎日作れと言われたら大変ですが、見栄えを気にしなければ、自分のこどものお昼ごはんくらいは作れます。
 もちろん、客観的に見て弁当を作るのが困難だと思われる家庭には何らかの援助が必要です。そんな家庭が50%、60%になったら、費用対効果から給食の選択が出てくるかと思いますが、まだまだそんな状況ではありません。結局「お弁当作りはたいへん」という一般的な保護者の「空気」に押されて、過剰なサービスを選択したものと判断しています。
 「やめられない、止まらない」の施策が、3・11という大きな出来事のあと、順次実施されるというのも皮肉な話です。

都道3・2・6道路訴訟敗訴、上告へ
 調布保谷線の工事差止めを求めている訴訟は控訴棄却になりました。司法は行政の言い分(安全神話)を追認して、大勢の道路公害被害者を生み続けています。また、フクシマでは司法は今回の事故を引き起こした共犯者になります。今回の道路訴訟は、安全の証明責任を行政に課し、司法が行政の追認機関から脱却する契機になるはずでした。
 残念ながら高裁はそのことを理解しませんでした。最高裁が理解するのも難しそうです。しかし、何もないところからは何も始まりません。多くの矢の一つとして最高裁を撃ちたいと思います。

新人議員
 昨年末の選挙で10人の新人議員が誕生しました。「新人議員はどうですか」と、いろんな人に聞かれますが、返答に悩んでいます。当然のこととしてカルチャーショックを受けているはずです。しかし、全員が党派会派に所属していますので、ショックが表に出てきません。党派会派の枠を超えられないのだと思います。せっかく人を入れ替えても、議会の刷新ということになると遠い、遠い話です。

報酬引き下げは自民、公明の責任!
 坂口市長に議員報酬の引き下げ提案をしないかと質問しました。答えは「議会の見識でどうぞ」というものでした。引下げだから議会が自分で決めるのは当然です。ところが下がりません。
 議会は、自民、公明が過半数を握っています。だから、どちらか、あるいは両者が引下げに賛成しないと、下がらないんです。
 報酬引き上げに熱心だった民主・社民は選挙で5人の現職を落としました。残っている賛成者は自民、公明です。民意は報酬引き下げですから、自民、公明には大きな責任があるのです。

与党現職5人の落選は市長の失政のせい
 市議選の評価を聞いてみました。市長によれば民主党への逆風のせいだそうです。自分の与党現職が5人も落選して「風のせい」はないでしょう。坂口市政を推進した中心メンバーが雁首揃えて落ちたのだから、失政のあおりだったことは間違いありません。
 4年間の中で評価の対象になった坂口政策の第一は報酬の引上げでした。その推進役6人中5人が落ちたのだから謙虚に反省しなくっちゃね。

ムダの骨頂 −勤労者福祉サービスセンター補助金−
 この団体に対する補助金は30年間にわたって支給されています。今年度の補助額は980万円です。
 会員数は1,701人で、事業主会員が543人います。勤労者は1,158人、市内在住勤労者の中でさえわずか3%にすぎません。補助金を勤労者会員数で割ると一人当たりの補助額は8,500円にもなります。
 団体の会費収入は年間1,100万円ほどです。事業の内容は勤労者の福利厚生を謳い文句に、遊園地等の入場料補助、旅行の企画斡旋と参加費の一部補助、疾病、傷害や人生の節目での金銭給付事業を行っています。似たような事業はあちこちでやっています。また、事務作業はパソコンが1台あれば半日勤務で十分な程度でしょう。
 上記事業に対して、実質事業費は900万円。900万円の事業に対して、人件費が800万円、システム関連経費が130万円。不要なシステムと高い人件費が目に付きます。また、3,200万円の貯金を持っているのに、補助額の実に42%、420万円も積立金を積み増し計上しています。補助金を支給するのにふさわしい運営のようには見えません。運営を工夫すれば補助金がなくても十分に自立できる団体です。
 身体、生命に影響する緊急性はなく、しかも対象者は市民のごく一部。とても補助金を支給する必要があるとは思えません。
 市の財政運営を身の丈に合ったものにするためには、漫然と続けられてきた補助金は見直していくべきでしょう。

原子力発電がだめなわけ
 森てるおは原発にはこれまでも反対してきています。科学技術に完全はあり得ない、まして原発のような巨大技術は毎日が実験のようなものです。事故なく運転できれば奇跡です。
 こう言うと「ジャンボ機でも事故はある」と反論する人がいます。しかし、どんな大事故であっても、事故の地点から何十kmもの範囲が長期にわたり立ち入りできない事態にはなりません。「取り返しがつかない」この点が原発事故の特殊なところ、だからダメなんです。
 次に、原発は被曝を伴う労働の上に成り立っています。気をつければ被曝しないで済むという労働ではありません。何ミリシーベルトまでは浴びても大丈夫という基準が作られ、被曝管理が行われているように、被曝が労働の前提なのです。もちろん、管理がルーズだと危険です。また個人差があるため、基準以下でも亡くなる人が出てきます。労災が認められれば幸運で、放射能は目に見えないし、体調不良などで退職した後に効いてきますから、病気との因果関係という壁に阻まれて、労災をもらえないケースがあとを絶ちません。労働者の命と引き換えに成り立つ原発、だからダメなんです。人の命を犠牲にしてまで電気がほしいと、私は思いません。
 フクシマの事態を受けてもなお、原発は必要という人たちがいます。被曝覚悟で瓦礫の処理に行かれたらどうでしょうか。今回の事故の後始末、迷惑をかけた後始末をまずやったうえで、もう一度被害地周辺の住民の皆さんにお願いするのが筋でしょう。これまでは地元自治体だけでしたが、今後は30q、50qという広範囲の住民の了承が必要になります。首都圏の電力のために(福島県は東北電力管内)子々孫々までの被害を甘受してくれる住民はもういませんよ。

どうした、森てるおの報酬
 今年1月20日で前の任期が終了し、21日から昨年の選挙で選ばれた新しい任期が始まりました。全額供託されていた森てるおの1月分までの報酬については、法務局で請求分だけを引き出してきました。残額は供託したまま残ります。
 新しい任期の報酬は全額受け取るべきとのご意見もいただいているのですが、気持ちが釈然としません。そこで、昨年末の選挙での市民の皆さんの大きなご支持を踏まえ、「引き上げた分は受け取らない」という基本を大切にすることにしました。今は「やはり受け取れない」と押し返していますが、今後どうするかの方法については考えていきます。
 現在までに受け取っていない報酬額(最終的に市に返還予定の現在時点での金額)は、昨年の「議員報酬の使い道」と一緒に本紙次号でご報告します。
 議員の仕事、報酬などについてこれまでもいろんなところで発言をしてきていますが、今後、コンパクトにまとめてお伝えしたいと思っています。




どうぞ 森てるおと市民のひろば お越しください
1 5月28日(土)午前10時〜12時 西東京市民会館 第3会議室
2 5月28日(土)午後 7時〜 9時 コール田無 会議室B
3 5月29日(日)午前10時〜12時 保谷こもれびホール 会議室

 「森てるおと市民のひろば」は西東京市にとっての焦眉の課題について、市民の皆さん同士で話し合っていただくために、森てるおが用意しました。皆さんのお分かりにならないことについては十分ご説明しますが、議論には森てるおも参加者の一人として加わります。



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