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 森てるおの拡声器 <第55号> 2014年11月発行  (html版)


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原発再稼働に、反対!<写真>

情報公開で市民主権を実現しよう!
 民主党政権を葬り去った後の安倍政権の誕生で、誰が政権につこうとも権力を握ったとたんに変質するという現実に私たちは直面しています。
 安倍政権では集団的自衛権という名で他人の戦争を買って出ることを可能にし、その決定をわずかな大臣で構成する安全保障会議(日本版NSC)で行い、特定秘密保護法でそこに至る経緯を半永久的(60 年間)に市民から隠し通すことが出来るようになりました。「納税者」とは、「市民」とは一体いかなる存在なのだろうかと暗たんたる思いにさせられてしまいます。
 「森てるおの拡声器」は一貫して「すべての情報を市民に!」「納得できる未来は情報の徹底公開から」を訴え、一握りの者による情報の独占を許さない姿勢を貫いてきました。
 とりわけ私たちの税金で存在する「公僕」が、市民の意思に反した勝手な振る舞いをしないよう監視するために、情報の公開は欠かせません。市民の税金で集めた情報は、すべて市民の物だからです。
 情報があれば嘘が発見できます。情報があれば何が必要か、重要かを市民同士が話し合って決めることが出来ます。市民が自分に関わることを自分たちで決め、その結果を引き受けるところから民主主義や市民自治が実現していきます。自分たちが決めた事だから、間違えたり、うまくいかなかったりしたら決めなおしをしたらいいのです。
 市民が決めることを邪魔するシステムや原因は取り除いていきましょう。

地方政治に政党はいらない!
 市民が決めることを邪魔する一つに政党があります。政党ってなんでしょうか。
 一口で言って、政党は談合組織だ、と森てるおは考えています。地方議会では政党を中心に「会派(グループ)」を作っています。この存在が地方行政を市民の手から遠ざけ、わかりにくくしています。ある物事について「会派」の中で議論をしても、その内容は市民には秘密です。また、三多摩の各市では単独の会派が議会の過半数を占めるところはありません。だから会派間の協議で多数派を作ります。
 この内容も、もちろん秘密です。秘密にしたことを公に議論することはありませんから、議会は多数を確認するためのセレモニーになります。ここだけが市民に公開されています。だから市民の皆さんにはどういういきさつで、どんな議論を経て決まったのか、肝心のところが全く分からないということになってしまうのです。
 なお、与党・野党という言葉がありますが、地方政治にこの表現は違和感があります。国政は行政の長(首相)を出した政党(政党連合)が与党になります。地方政治では、行政の長(市長など)を市民が直接選びます。地方政治において与党とは、行政の長にすり寄った議員集団でしかありません。

庁舎の統合は、今、必要か
 庁舎の統合と新庁舎の建設が課題とされています。
 本当に今必要でしょうか。疑問です。現在行政が提起している内容についてはとうてい理解できません。
 人口の将来推計をもとに、どんな街を作るのか、そのために行政は何をするのか、何ができるのかを明らかにすることが必要です。またこの先の情報通信(IT)技術の進歩によってどの程度の省力化が可能なのか、どこに職員の重点配置が必要なのかを考えたうえで、必要となる職員数と執務スペースを定めなければなりません。ところが人口は現状維持、職員数は減りません。執務スペースに至っては拡大としています。「二重配置の無駄な職員、無駄なスペースを整理するための統合」との説明と矛盾します。
 更に加えて財源の問題があります。庁舎の建設には国や東京都の補助金は出ません。全部市の持ち出しです。そんなゆとりがあるのでしょうか。市は基金という財布を作りましたが、人口の一割が毎年異動する西東京市です。基金を積むということは、税金を払っても、その分の行政サービスを受けられない人を毎年一割ずつ出す、ということです。負担の公平という意味からも問題があります。
 今、市民は安倍政権の政策による影響をもろに受け、一部の人を除いて生活が日々苦しくなっています。自治体は市民生活の下支えのために、今以上に工夫と財政負担が求められているのです。加えて、今後10 年間の国土強靱化という公共工事偏重の政策や東京オリンピックの影響で建設コストが暴騰しており、試算されているコストでの建設はとても不可能な情勢になっています。そんな中で、あいまいな推計の下で推進する事は許されません。
 行政は大きな器がほしいのでしょう。立派な庁舎にステータスを感じる市民もいるでしょう。しかし、それも生活の安定があってのことです。再度、再々度検討し直すように求めていきましょう。

補助金行政からの脱却を!
 西東京市の予算の規模は約700 億円です。この数値が高いほど議員や行政の鼻が高くなります。「大きい事はいいことだ」というわけです。しかし本当にそうでしょうか?
 財政規模を大きく見せるために補助金の出る事業を優先的に選択していないでしょうか。不必要なスクラップ&ビルドを行っていないでしょうか。
 確かに国や東京都が誘導する事業を選択すれば補助金が交付されます。しかし、補助金はあくまで補助、市が自分の財布からほとんどの費用を負担します。補助金をもらわない選択をすれば、市はその費用で別の事業を行う事ができます。市民にとって何が最優先の事業か、その選択によっては補助金をもらわないほうがいいこともあります。市民が政策の選択をするシステムの構築、あるいは少なくとも、市長や議会がどんな事業の中からどんな選択をしたのか、優先順位がわかる情報の公開が必要です。行政の行為を監視する、そこから市民自治がスタートします。
 また東京都が23区に出している財政調整交付金のように、自治体が自由に使い道を決められる財源の移譲も必要だと思います。

政務活動費の使途はインターネットでも公開せよ!
 あの「号泣県議」に端を発した政務活動費の使途の問題では市民の中に「情報公開を徹底させよう」という流れと、「政務活動費を廃止しよう」という流れの2本があります。後者は、政務活動費は第二報酬であり不要という立場で、森てるおは前者の意見です。議員の行動をお金の使い方によって監視できると考えているからです。政務活動費の使途の公開はそのための道具として役立ちします。この立場から、報酬を引き下げてその分政務活動費に移し替え、徹底した情報公開の対象にすることを提案しています。「報酬は生活費+活動費」というのが行政の公式見解ですが、その割合もわからないし、そもそも情報公開の対象でさえありません。一方で政務活動費はおかしな使い方をしても、虚偽の報告をしても全部記録として残ります。「号泣県議」も記録があったから追い込まれたのです。
 最近、政務活動費の使途報告書をインターネット公開する自治体が増えています。三多摩各市では、二市が公開しています。森てるおは西東京市でずっとインターネット公開を求めてきましたが、まだ実現していません。難しいことは何もないにもかかわらず、です。
 他にも、宿泊費の定額計算という問題があります。民間企業では出張時の宿泊費は実費精算が一般的です。政務活動費の扱いは違っています。一泊16,000円の固定額なのですが、今、宿泊費はそんなにかかりません。
 政務活動費の使途の公開ではその議員の活動内容の一端がわかります。その議員がどんなものを議員としての活動と考えているのかを推測することができるからです。それは選挙で議員を選ぶときの参考になります。あわせて、今「会派(グループ)」に出されている政務活動費を「個人」に変えることが必要です。法律は「会派または個人に支給する」と規定されており、条例で決めることになっています。個々の議員に責任を持たせる意味で「個人」と定めるべきです。

申請主義から積極行政への転換を!
 現在の行政は、市民からの申し出を受けてその可否を判断し、その後に対応するというシステムで動いています。言い換えれば市民からの申し出がなければ対応しないということにもなります。生命の危険に直結する問題だとそれではだめです。後手に回ったら取り返しがつきません。
 生活困窮者の発見、いじめや虐待の発見、自殺の恐れのある人の把握、犯罪被害発生の恐れ、身寄りのない要介護者の把握など、探して回れとは言わないけれども、いろんな機会で気が付くことがあります。その時点で、それぞれの申請方法や手続きへの誘導を行い、適切に対応する事が必要だと考えます。これからの行政は積極主義への転換が必要になります。

まやかしの「安全・安心」は危険
 与党を中心に「安全・安心」が叫ばれています。確かに多くの事件・事故が報道されています。だからと言って、今の社会がそれほど危険な社会なのでしょうか。「安全・安心」の言葉でいたずらに不安をあおっているようにも見えます。
 安全・安心は何よりも、市民生活の安定で人の心が安定することによってもたらされるものだと思います。生活への不安が安全・安心の危険要素だとすれば、現在の格差社会の増進などはその危険要素の最たるものだと言えるでしょう。
 富の再分配が政治の大きな役割です。それを忘れた政治が進められている中では、「安全・安心」は単なる取締りの強化を求めるということにしかならないでしょう。

投票に行こう!
 安倍政権誕生以来、国内の政治は大きく変化し、政府の行為によって、平和と市民生活が崩壊の危機に瀕することになりました。思えば政権交代を果たした民主党政権が権力を握ったとたんに変質して、市民から見放されたことが発端でした。
 民主党政権は自民党が大敗した結果生まれました。安倍自民党政権はその大敗時の得票を下回る得票数で成立しました。しかし議席では3 分の2 を占めています。まともな政府なら、政権運営に市民の意見を傾聴するところなのに、安倍政権の対応は全く反対、市民無視も極まっています。
 原発の再稼働も、特定秘密保護法も、集団的自衛権の閣議決定についても、市民の意見は反対が過半数を超え、賛成の倍にもなっています。これが無視されているのです。
 この政権を国政の場で追及するのも打倒するのも、現状では困難です。しかし、自公連合が過日の滋賀県知事選で敗北しました。すると福島県知事選では自分たちの候補がいたのに、勝ちそうな候補に相乗りしました。今また沖縄県知事選で、危ない自前候補の応援に「最後は金目でしょ!」と露骨なてこ入れをしています。地方選挙の結果をことさら気にしている安倍政権の姿がそこにあります。
 民主党政権の体たらくと安倍政権の国民無視を見て、どうせ誰がやっても・・・とあきらめている人は多いと思います。しかし、あきらめてしまったら悪政が固定されてしまいます。鍵は地方選挙です。地方選挙の投票率は40%くらいしかありませんが、これが高まれば、地方で安倍政権に連なる勢力をそぎ落としていくことは可能です。これによって、政権の意識を変える、または政権を崩壊させることが可能になります。
 政権交代を何度も繰り返すことで、市民の意見を尊重する政権の誕生を促すことができるようになります。悪い政権は排除する、多くの市民が投票に参加することで実現できます。
 最近では状況が急変し、12 月中旬にも総選挙が行われる見通しになってきました。政権を取り換える直接的なチャンスです。また、この後の統一地方選挙(西東京市はその先駆け)を含めると、市民軽視の政権を覆す大きなチャンスがやってきました。投票に行きましょう。

編集後記
 「森てるおの拡声器」最新号をお届けします。
 昨年は市長選挙・都議会議員選挙ともども多大なご支援をいただきました。残念ながらいずれも次点に終わりご期待に沿うことが出来ず申し訳ありませんでした。また今日まで「森てるおの拡声器」の発行が滞ってしまいましたことも併せてお詫びいたします。
 今号の発行を前に何人もの方から、選挙後の総括が遅い、報告がないなどのお叱りをいただきました。「森てるおの拡声器」の発行をもって、と考えたため不必要に時を過ごしてしまったものと反省しています。申し訳ありません。
 拡声器の発行はご購読いただいている方々へのお約束で別物です。両方を一緒になどと考えたのがいけなかったと思っています。重ね重ね申し訳ありませんでした。
 「森てるおの拡声器」は、「民主主義社会の実現」を目指して発行を続けています。民主主義社会の基本には選挙があるのですが、選挙がすべてではありません。しかしいまの政治家を見ていると、選挙で多数を占めれば何をやっても許されると考えているようです。森てるおは、より直接的な政治、市民主権の政治を目指しています。市民には行政から知らされていないことが多すぎます。情報の公開を進めて、市民が行政をきちんとコントロールできるようにする必要があります。
 とはいえ、総選挙も含めて選挙の季節が始まります。安倍自民党を政権から引きずりおろす絶好の機会が訪れたのだと考えて、選挙にも参加していきましょう。


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